「ロペテギ解任は選手たちによる画策? 試合の焦点はピッチよりも中村憲剛に」スペイン・リーガエスパニョーラ第10節 バルセロナ-レアル・マドリー

既に試合の結果は知っていて、ロペテギ解任が確実視されているニュースが流れていたけど、5-1という大差の中に何があったのか興味があって、昨日はそのクラシコをDAZNで見てみることにした。

レアルはベンゼマの1トップに、イスコとベイルを2列目に置いた4-3-3のフォーメーション。バルサはルイス・スアレスの1トップに、コウチーニョとラフィーニャが並んだ4-3-3だが、守備時にはラフィーニャが下がって4-4-2の形で守っている。

気になるのは、レアルの守備が漫然と4-1-4-1の形らしきものを作っているんだけど、全体が連動しておらず、各選手の距離感もバラバラで単なる烏合の衆になっている。これは監督の指導うんぬんではなく、レアルの選手がやる気を無くしているのは明白だ。仮にもこのレベルの選手であれば、例え監督が不在でも選手同士の連携だけでバランスを取る事は可能だし、攻撃なんかほっといても正確に繋ぐことが出来るはず。

ビッグクラブの場合、人望を失ってしまった監督に対して、選手がサボタージュをする事はよくある話だが、ここまであからさまなのも珍しい。2点目のスアレスに対するPKなんて、もう少し本物らしい芝居をしろと言いたいレベルだった。バルサファン以外の観客は、前半のチケット代に関してはレアルの選手から弁償金をもらうべきだろう。

ただ前半の終わり頃から、レアルはさすがにプライドが許さないのか、少なくとも攻撃ではやる気を出していたし、後半からは3バックにしてビルドアップの問題を解決しようという姿勢が見え、前半は完全に消えていたマルセロが高い位置で攻撃に絡み、後半5分にレアルがそのマルセロのゴールで1点を返した事でやっとこさエンジンがかかる。

直母のモドリッチのシュートはポスト直撃、ベンゼマのドフリーヘディングはバーの上と、レアルが同点に追いつくチャンスはあったが、後半30分に、デンベレのドリブルからセルジ・ロベルトが上げたクロスにスアレスが3点目を決め、レアルはマルセロが怪我で下がった事でモチベーションと運動量は一気に失われ。あとはバルサショーのカーテンコール2発で試合終了。

試合に関してはこれ以上書くことは無いんだけど、内容がアレだっただけに、ゲストの中村憲剛が完全に解説の座を水沼貴史氏から奪っていて面白かった(笑)。以下、発言から抜粋。

  • ジョルディ・アルバがどれだけ高い位置を取れているかがバルサの調子を見る目安。レアルはボールをどう持つかの具体的な策が見えない。GKまで下げた時に、逃げ道を作れていない。
  • バルサは中盤に5人を集めて数的優位を作っているので、レアルがボールを奪えない。サイドは両SBに任せて、レアルを中央に寄せてからスペースを使わせている。
  • クリロナは守備に戻らず前残りするので、相手の守備がクリロナが怖くて、存在に引っ張られて上がれなくなる。今のレアルは、守備を樹にせずガンガン上がれてしまう。
  • いつものクラシコならガツガツ当たっているのに、レアルが球際で争わないのでカードさえ出ない。
  • ブスケツをあまりにも自由にプレイさせすぎている。というよりも、マンマークにするのか全体でプレスをかけるのか、チーム全体で狙いがはっきりしていない。
  • レアルが3-5-2に変えた事で、WBに対してバルサはどう守備を当てるのか戸惑っている。レアルは局面で数的優位を作れるようになった。
  • こんな時間に解説する事は初めてだけど冴えてきました(笑)。

特に、戦術に対する選手の臨機応変な対応を、選手の心理から読み取る解説は、今までの日本人解説者のクォリティとは一線を画している。日本のサッカーは一段と成長するには世界を知った選手が指導者にならないとと思っていたけど、戸田和幸氏とか中村憲剛レベルの言語力を持った選手が解説者として増えて来る事も必要だなと痛感させられた次第である。