「心が折れる12分間の3失点を、シュート8本の鹿島がひっくり返す」アジア・チャンピオンズリーグ準決勝 第2レグ 水原三成-鹿島アントラーズ

昨日は珍しく、ACLを有料CSではなくてBSの日テレでやってくれたので、もちろんその試合を観戦した。

鹿島ホームで行われたACL準決勝の第1レグで3-2とリードした後を受けての、水原で行われた第2レグ。鹿島は伝統の4-4-2で、浦和戦から中盤を変えて安西、三竿、レオ・シルバ、土居の並びで、2トップはセルジーニョと鈴木優磨のコンビ。対する水原は4-2-3-1のフォーメーションでスタート。

試合の序盤は水原が高い位置からプレスを仕掛けて来る。多くのJクラブの場合、アジアで相手からハイプレスを受けてしまった場合、まずはセーフティファーストでクリアして、ボールを落ち着かせて自分たちのペースを取り戻そうとするのだが、クリアしても高さとフィジカルで負けてボールをキープできず、落ち着かせる間もなくクロスからフリーでヘディングされたり、ミドルでやられるというのがお決まりのパターンだった。

アジア相手の経験が豊富な鹿島は、まず自陣でマイボールにすると、バックパスで落ち着かせるような策は取らず、すぐさま中央に縦パスを出して来る。もちろん相手もセンターに選手を配置しているので、そこでボールを奪われることも何度かあったが、それよりもハイプレスで前線の選手が前に出ている分、中盤にスペースがあるため、そこで繋ぐと一気にビッグチャンスを生み出す事が出来る。

最初から受けに回る相手には、嵩にかかって圧力を強めるアジアのクラブも、相手が抜け目なく反撃を仕掛けて来ると思ったら、自然とペースが落ちて来るもの。それはACLで優勝を果たしたガンバの時にも良く見られた光景だ。そして前半24分にセルジーニョのFKから山本脩斗が頭で合わせて鹿島が先制する。

後半になると水原はパク・キドンを投入、4-4-2にして攻勢に出る。鹿島は落ち着いて対処はしていたのだが、7分に右サイドからのクロスにヘディングで合わされ、それは鹿島GKクォン・スンテが弾いたがイム・サンヒョプに押し込まれて同点。その1分後にもCKからチョ・ソンジンに決められ、アウェイゴールの差で逆転されてしまう。

さらに後半15分には右サイドを崩され、昌子があっさり裏を取られて角度の無いところからダミャノヴィッチに流し込まれて3点目。17分にはフリーで抜け出されたサリッチのシュートがポストをかすめる。結果的に、このビッグチャンスを外してくれた事が両チームの運命を変えた。

鹿島は後半19分、右サイドの狭いスペースで粘ったセルジーニョから左へ展開、安西のクロスに合わせたセルジーニョのヘディングはヒットしなかったが、裏に入っていた西がボレーで合わせて鹿島がアグリゲートスコアでイーブンに追いつく。

その後もガンガンとデュエルを仕掛け、奪ったら早くボールを入れて来る水原の攻撃に鹿島が耐える時間帯が続く。が、後半36分に右サイドからのスローインを受けた鈴木優磨がターンからアウトサイドでパス、それに走り込んできたセルジーニョがワントラップで叩き込み鹿島が同点、鹿島がトータルで逆転する。

鹿島はここで犬飼を入れ、5バックにして要所でファールをもらったり与えたりで試合の流れを止める鹿島らしい試合運びで時間を潰しにかかる。一度、クォン・スンテが弾いたボールに詰められたり、ロスタイムにヨム・ギフンに抜け出されわずかに枠外という危ないシーンはあったが、何とか守り切って試合終了。鹿島がチーム史上初となる決勝へと駒を進めた。

チームに怪我人が続出し、昌子も明らかに調子が出ていない中、途中で水原に逆転された時は、そのままズルズルと行ってしまうのかと思ったが、試合を通じてわずか8本という少ないシュートで3点を取る鹿島の勝負強さが際立っていた。

これで決勝は、11/3と11/10にイランのペルセポリスとの対戦となった。ぶっちゃけ試合内容はお世辞にも良かったとは言えず、謎の粘りで勝ち上がって来たので決して楽観視は出来ないが、少しでも調子を上げて臨んでもらいらいね。