「今現在、”世界に最も近い”チームがJ1頂上決戦を制す」J1第23節 サンフレッチェ広島-川崎フロンターレ

現在勝ち点9差で首位を独走しているサンフレッチェ広島と、2位川崎フロンターレとの直接対決。川崎は前節と同じメンバーの4-2-3-1で、広島は4-4-2で2トップの一角に渡が入るなど、メンバー3人を入れ替えて来た。

序盤はホームの広島が高い位置からプレッシングをかけて川崎に余裕を与えず、トータルでのポゼッションではやや優位に立つ。いきなり前半4分に、柏からのスルーパスにパトリックが抜け出してのゴールはオフサイドの判定になったが、広島の勢いが感じられる立ち上がり。

しかし前半15分を過ぎると、川崎は中村憲剛や大島が流動的に動いてサイドに流れるなど、パスを引き出して基点を作る動きでポゼッションを奪い返し、広島は3ラインのゾーンを自陣に引いて待ち受ける形に試合の流れが変わる。

前半22分に谷口からのフィードに反応した小林が先に触るも広島GK林に防がれ、前半ロスタイムにCKから車屋がヘディングもクロスバー、後半7分にも車屋のミドルからGKが弾いたところを小林が詰めるも決められずと、川崎が立て続けにチャンスを作る。

そこまで川崎に試合を支配されていた広島だったが、後半7分頃からようやくボールを保持できるようになると、後半10分に右からのクロスをパトリックがDFに挟まれながらもヘディングを決めて広島が先制点をゲットする。

ビハインドを負った川崎はさらにポゼッション率を高め、15分には非常に狭い中でパスを繋ぐと、最後は家長がシュートをするもサイドネット。しかし後半17分にダイレクトパスからエウシーニョがフリーで折り返し、小林がきっちり合わせて同点に追いつく。

さらに後半29分、登里がボールをカットしてからドリブルで持ち上がってシュートも上手くヒットせず林がセーブするが、その直後の30分、家長が右サイドで飛び出してからのクロスを、広島の千葉がスライディング時に上げた腕に当ててしまいPK、小林のキックは林が触ったがそのままゴールに入り川崎が逆転。

後半35分頃からは中盤にスペースが空いて、広島もカウンターから2対2の場面を作ったりするが川崎も集中力を切らさず守る。逆に川崎も家長のキープから股抜き、ループシュートも19DFがギリギリクリア。ロスタイム4分には右からのクロスにパトリックが飛び込むもヘディングは枠外、そして試合終了。

点差は最小で審判の判定が影響した試合だったが、チーム力的には川崎のほうが一枚上だったかなと。Jリーグの、特に夏場の試合だとボールを持って前を向いても、近くにパスコースが無いとよっこらしょと攻撃を組み立て直すチームが多いんだけど、川崎はそういったスローダウンする瞬間が少なく、息をつく間もなく縦パスを繰り出して来る。

先日、川崎との試合後にフェルナンド・トーレスが「今までで一番強いチーム」と語っていたが、ある意味「世界に意識が最も近い」チームが川崎だと言えるだろう。もっともっと、川崎に追いつき追い越せするチームが増えて行けば、Jリーグと日本サッカーの未来は明るくなるはずだ。