「ショッキングな崖下転落はあったが、嵐の前の静けさとなった3日間」ツール・ド・フランス2018 第15・16ステージ

月曜の休息日を挟んだ、第15・16ステージは中央山塊とピレネー山脈という違いはあるものの、どちらも1級山岳を登ってからの下りゴールステージ。

第15ステージは、予想通り逃げが序盤から活発に動き、スタートから40km地点でようやく落ち着きサガンやヴァンアーヴェルマートを含んだ28人ほどの逃げ集団が決まり、そこからメイン集団とは10分以上の差がついてステージ優勝は逃げ集団の中から決まる事が濃厚に。

残り100km地点あたりから、フランス人選手のグルリエとベルナールがアタック、最後の1級山岳であるピック・ド・ノールを登り始めるが、後方からアタックを仕掛けたラファエル・マイカが程なく2名を交わし単独状態で頂上を超えるも、下りで追撃グループに追いつかれて結局8人の先頭集団にまとまる。

ゴールが近くなると8人の中でアタック合戦が始まり、最終的にはモレマ、コルトニールセン、イサギレの3人が逃げを成功させたものの、この中では圧倒的にスプリント能力が勝っているコルトニールセンがあっさりと逃げ切り、ツール初出場で初勝利という嬉しい結果になった。

そしだ休養日明けの第16ステージは、残り80km地点から2級山岳ポルテ・ダスペ峠、1級マンテ峠と連続でこなし、最後に1級ポルティヨン峠を超えた後で急峻な下りが待っているピレネーのステージ。

序盤に農家による道路を封鎖したデモがあり、催涙スプレーの影響で集団がストップ、改めて再スタートというつまづきはあったが、その後はアタックが繰り返されるハイペースな展開になり、ようやくステージの半ばぐらいになって48人という巨大な逃げ集団が形成される。

ポルテ・ダスペでの登りでフィリップ・ジルベールが単独でアタックを仕掛け、先頭で頂上を超えたものの下りで後輪がスリップ、そのまま垣根を超えて崖下に転落するショッキングなアクシデント。幸いにして本人は元気で親指を立てて再スタートしたが、ゴール後に膝蓋骨の骨折が判明、敢闘賞で表彰されながら失意のリタイアになってしまった。

次のマンテ峠ではヘーシンクやバルギルのアタックで逃げ集団が分裂、山岳賞ジャージを来ているアラフィリップを先頭に頂上を超えると、先頭集団は17人にまとまる。後方では10分以上の差でメイン集団が追走、途中でチーム・スカイに代わってモビスター・チームが引くシーンはあったが大きな動きは無し。

最後のポルティヨン峠では、逃げ集団から何度かアタックが繰り返されたが、最後に抜け出したのがアダム・イェーツ。その後でアラフィリップが追撃しながら頂上を通過するもタイム差は縮まらず、このままイェーツが逃げ切るかと思われたのだが、下りのコーナーでまさかの落車、すぐに立ち上がったものの追走のアラフィリップに先頭を奪われてしまう。

結局アラフィリップはそのまま最後まで逃げ切り、15秒差で2位集団のイサギレ、イェーツ、モレマがゴール。メイン集団では途中でミケル・ランダがアタックを見せたがチームスカイのアシストに吸収され、約9分遅れの集団でゴール。総合争いに動きは無いままで終了した。

今日の第17ステージは、わずか65kmという距離の間に、1級山岳が2つと超級山岳サン=ラリー=スラン峠の頂上ゴールが待ち受ける超濃縮コース。しかもスタートはいつものようなパレードランからではなく、最初からヨーイドンでリアルスタートという集団個人タイムトライアルと呼べるもので、総合争いを大きく左右するのは間違いないが、全く展開が読めないレースでもある。各チームがどんな戦略で望んで来るのかが注目される。