「なぜ、時代遅れになりつつあった4-2-3-1が復活したのか」ロシア・ワールドカップでの戦術傾向について

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もう既に過去の話題になっている感があるロシア・ワールドカップだが、戦術的に気づいた事についてちょっと書いてみたい。

ざっとこれまでのネット上での論調を眺めてみたが、今大会の戦術的な総括として多く語られているのは、セットプレイとカウンターが威力を発揮したという点で、それには個人的にも異論はない。VARによる判定で直接的にPKの数が増えたことだけでなく、セットプレイでユニフォームを掴んだりする反則スレスレのプレイがしにくくなったのも、大会の総得点数におけるセットプレイの割合が半数を超えた原因だろう。

しかし、パスサッカーを得意としたドイツとスペインが早期に敗退してしまった事で、「ティキ・タカの終焉」が謳われている事については、少々勇み足じゃないかと思っている。

本来ティキ・タカサッカーとは、ゾーンの間でパスを受けるエントレリアネス、SBとCBの間に出来るニアゾーンを利用する5レーン理論によって、4-4-2や4-2-3-1ののゾーン・ディフェンスを打ち破るために考案されたものであり、その対抗策としてマンマーク色を強めた5バックを採用したチームが、ブラジル大会では多く見られた流れがある。

しかし、今大会ではイングランドを除けば上位に進出したチームのほとんどが4-2-3-1または4-4-2の、ゾーン・ディフェンスをベースにした守備戦術を採用していた。逆に、ティキ・タカタイプに多い4-3-3のフォーメーションはスペインやブラジルなど少数派になり、なおかつ成績も振るわないという、4年前とは正反対の結果になってしまった。

その原因としては、今の主流になっている4バックが、ブラジル大会以前の4バックとは性格が変わったという点が大きい。以前に、ここでも長友の移籍と絡めてその理由をこんな風に書いた。これは3バックとの対比であるが、ティキ・タカもSBが高く上がってニアゾーンを利用する点では同じである。

「そこで対応策として考えられたのが『SBのCB化、SHのSB化』です。つまり、相手のWBが上がって来てもSBは4人目のCBのようにPAの幅から外に出ず、代わりにSHがSBの位置まで下がるという形で、中盤が横にスライドせず縦の選手だけで対応できるので、戦術練度が低いチームでも3バックに対抗できるようになりました。逆に3バックは、3トップを当てられてビルドアップに苦しむ事が多くなり、徐々に劣勢となりつつあります」

さらに守備におけるポイントとしては、CBとSBが大型化した事も大きい。ロシアはいつものW杯に比べると全体的に涼しく、SHが自陣まで守備に戻りやすくなったという事もあるが、それでもカバーが間に合わない場面は多々ある。その時に、SBがタッチライン際に移動してニアゾーンを開けるよりも、あえて外からクロスを上げさせ、PA内に並べた大型DF4人で跳ね返そうというチームが多くなった。

これはFIFAのテクニカルスタディグループが今回のワールドカップを総括した会見の動画だが、4人の”CB”がPA内に固まる事によってスペースが無くなっている事が指摘されている。大会得点ランキングの上位選手は下位のチーム相手に固め打ちした得点が多く、レヴァンドフスキが無得点だったのを見ても、そのプランはある程度成功したと言って良いだろう。

そして4バックのメリットは、守備時には5-4-1または5-3-2へ変化する3バックに比べると、ラインが上げやすく攻撃陣の人数が多くなるため、サイドを使ったカウンターがやりやすいというメリットがある。今大会で活躍した、ムバッペ、ペリシッチ、アザール、乾といった選手は3バックだったらもっと守備負担が増え、攻撃の自由度が狭められていたはずだ。

現在の4バック優位の状態はそう簡単には変わらないだろうが、ベルギーのムニエらのように圧倒的な走力を持ったWBが居れば3バックも十分対抗できる。特にDFの4人に高さが足りない日本にとっては、3バックを検討する価値がある事は確かだろう。

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