「今年もチームスカイの牙城は1mmも揺るがず」ツール・ド・フランス第10・11ステージ

さていよいよアルプスの山岳ステージへと突入した今年のツール・ド・フランス。

まず第10ステージは、中盤で超級山岳プラトー・デ・グリエールを超え、最後はロム峠、コロンビエール峠というツールでおなじみの1級山岳を連続で超えた後に下りきってのゴールというステージ。

翌日と明後日に頂上ゴールを控えているとあってか、総合争いでは大きな動きは無かったものの、10人ほどの逃げ集団の中に入ったフランスのアラ・フィリップがプラトー・デ・グリエールを先頭で通過するなど山岳ポイントを荒稼ぎ。ロム峠では先頭集団からタラマエが抜け出すも、アラフィリップがすかさず追走して逆に突き放し、最後のコロンビエール峠も単独で頂上を踏破、そのまま2位に1分37秒差を付けての嬉しいゴール。

これまでマイヨジョーヌを着ていたヴァンアーヴェルマートは、先頭からは遅れたもののメイン集団とは2分近い差を稼いでのゴール、総合2位のゲラント・トーマスとは2分22秒差まで広がったが、自身はパンチャーなので連続で山岳はこなせず、明日がマイヨジョーヌを来て走る最後のステージだと白旗のインタビューだった。

そして第11ステージは、わずか108kmの間に、超級山岳が2つ、後は2級、そして最後は1級山岳ラ・ロジエール峠の頂上ゴールという過酷なステージ。そしてツール・ド・フランスでは、先頭のフィニッシュタイムから一定の利率をかけた時間以降にゴールした選手は、タイムアウトで失格となるルールがあるため、登りが苦手なスプリンターにも非情なステージでもある。

レースは最初の超級ビサンヌ峠で40人程度の大きな逃げ集団が作られ、その中からアラフィリップが峠を先頭で通過、後を追うバルギル、デヘントと3人が逃げ集団からさらにリードして2つ目の超級山岳プレ峠へと突入。メイン集団からは予告どおり、マイヨジョーヌのヴァンアーヴェルマートがリゴベルト・ウランらと共に脱落、ここで事実上マイヨジョーヌが交代する。

ここで勝負に出たのがモビスター・チームのバルベルデ。メイン集団からアタックし、逃げ集団から下りてきたマルク・ソレルをアシストにして一時はメイン集団から2分の差を付ける事に成功する。が、おそらくチーム総合タイムで引き離される事を嫌ったのか、メイン集団ではチーム・スカイの前にバーレーン・メリダが入って引っ張り始め、事実上のアシスト状態。

最後のラ・ロジエール峠の麓では、とうとうバルベルデとメイン集団の差は50秒まで縮まり、さらにこの登りで本格的にチーム・スカイがペースアップするとバルベルデはあえなく吸収され、集団から置いていかれる始末。同じく総合争いのライバルであるミッチェルトン・スコットのアダム・イェーツもズルズルと後退。

さらにチーム・スカイの容赦ない攻撃は続き、メイン集団から総合2位のゲラント・トーマスがアタック、他のライバル達はフルームをマークするためあっさり逃げが決まってしまう。しかもメイン集団からバルデが追撃のアタックを仕掛けると、これにフルームとダニエル・マーティンは付いて行けたものの、キンタナやニーバリは遅れてしまう。

結局ゲラント・トーマスは残り1kmを切ってからデュムラン、ニエベを抜き去り先頭でゴールしマイヨジョーヌを獲得、3位に入ったフルームはキンタナとニーバリに対して38秒の差を付ける事に成功、これでチーム・スカイはゲラント・トーマス、フルームと総合でワンツーを締め、早くもツール連覇に向けて盤石の体制を築きつつある。

そして今日はいよいよ今年のツール中盤最大の山場、伝説のラルプ・デュエズ頂上ゴールが待ち受けるステージ。チーム・スカイの牙城は堅すぎるが、何とか他のチームにも意地を見せてもらいたいところだ。