「またも”第9ステージの呪い”に阻まれたリッチー・ポート」ツール・ド・フランス2018 第7~9ステージ

さてワールドカップが終了し、ここもしばらくは毎年恒例でツール・ド・フランスのレポートがメインになります。

金土と行われた第7、8ステージはどちらも平坦ステージ。特に第7ステージは231kmと今大会最長ステージで、各チームともに「リエゾン」ステージとの認識からかメイン集団のペースは遅く、ゴールまで200kmを残す地点からオフルド選手単騎での逃げを許すものの、逃げは残り38km地点で全て吸収、今大会では珍しく大きな落車が無いままにゴール地点へ。

そのゴールスプリントでは何とオランダのフルーネウェーヘンが圧勝。第1、2ステージでは全くゴールに絡んでいなかった選手だったが、直前に行われていたオランダ選手権での疲れが残っていたらしく、ここに来て突然の能力全開、序盤の2勝で話題を集めたガビリアを軽く千切る圧倒的なスプリント能力を見せつけた。

第8ステージも3人が逃げる静かな展開で始まり、途中で大きな落車はあったもののそのまま集団でのゴールスプリント。最初にスパートしたサガンをグライペルとガビリアが交わしたかと思ったら、またもフルーネウェーヘンがあっさり両者を抜き去りステージ2連勝。一気にポイント賞争いでも上位に食い込んで来た。

そして「プチ・パリ=ルーベ」、全部で15セクター、21.7kmのパヴェ、いわゆる石畳区間が待ち受ける第9ステージ。しかし今大会最大のアクシデントは、パヴェ区間が始まる前に起こってしまった。レース開始わずか7km地点で、ここまで好調な走りを見せてきた優勝候補のリッチー・ポートが落車、鎖骨骨折でリタイアを喫してしまう。前回のツール・ド・フランスでも同じように第9ステージで落車リタイアを喫しており、まさに「第9ステージの呪い」である。

その後の連続するパヴェ区間では当然のように落車やパンクが頻発、有力選手も多くが巻き込まれたが一番悲惨だったのはバルデ。今大会は運に見放されている彼だが、このステージでも合計で3度のパンクを食らってしまい、幸いにして総合タイムでは7秒の遅れで留まったものの、厳しいステージになってしまった。

レースは残り2つ目のパヴェである「カンファン・アン・ペヴェル」でランパールト、デゲンコルブ、マイヨジョーヌのヴァンアーヴェルマートが集団からアタック、ステージ本命と見られていたサガンは出遅れてしまい、完全にこの3人による逃げが決まってしまう。そして3人によるスプリントを制したのはデゲンコルブ。今までステージ2位が最高だったが、嬉しいツール初勝利。ヴァンアーヴェルマートは勝利はならなかったものの、総合争いでは2位のゲラント・トーマスに対して43秒差のリードを得ることに成功した。

月曜は今大会最初の休養日。そして今日からはいよいよアルプスの山岳ステージが開始、明後日の第12ステージは、伝説のラルプ・デュエズ頂上ゴールが待ち受けるツール中盤最大のクライマックス、とにかく楽しみですな!