「スカイの岩がわずかに動いた? ブルターニュの壁」ツール・ド・フランス2018 第4~6ステージ

今日からまたワールドカップが再開しますが、まず先にツール・ド・フランス第4~6ステージについて。

今年のツール序盤のテーマを1つ挙げるとすれば「落車」。従来のリムブレーキではなく、ディスクブレーキの使用が解禁された影響なのかは分かりませんが、ただでさえ高速な展開になる事が多いツールにあっては例年以上に落車が多い印象。

第4ステージでも、残り5kmの地点で大きな落車が発生し、その時点で逃げ集団が残っていたので集団がバラけながらもハイペースで追っかけ、最後は何とか追いついてコロンビア人スプリンターのガビリアが第1ステージに続いての勝利。スプリンターについては、これまで時代を席巻していたカヴェンディッシュやキッテルらは精彩を欠き、確実に世代交代の波が押し寄せています。

続く第5ステージは、中級山岳ステージとして位置づけられているように、大きな峠は無いものの細かいアップダウンが続くピュアスプリンター泣かせのステージで、フルームが「フレッシュ・ワロンヌ」みたいだと称していたように、まるでアルデンヌクラシックレースのようです。

レースは、ベテランのフランス人選手シルヴァン・シャヴァネルらの逃げ集団を追いかけるメイン集団がペースを上げる中、前日に勝利したガビリアはステージ後半に連続する3級山岳の峠で後退、こうなるとやはりペーター・サガンは強い。各選手によるスプリントが開始される中、余裕を持ったロングスパートで他を寄せ付けない勝利、6度目のマイヨヴェールに向けて着々とポイントを重ねています。

そして、最後に「ミュール・ド・ブルターニュ」、つまりブルターニュの壁と呼ばれる激坂3級山岳を登りきってのゴールが待ち受ける第6ステージ。コースはミュール・ド・ブルターニュを2度通る事になっているのですが、残り16km地点の1度目はあまり大きな動きが無く逃げを吸収しただけで通過。しかしこのミュール・ド・ブルターニュってずっとまっすぐなんですね。

2度目のミュール・ド・ブルターニュ、つまりゴールスプリントでは登りに入る直前で、デュムランがまたもメカトラブルで遅れる不運。同じく優勝争いの候補であるバルデもパンク。そして先頭では残り1kmからリッチー・ポートがアタックすると、ダニエル・マーティンがまくってセカンドアタック、最後までペースが落ちず他の選手を振り切っての勝利。

後続ではポート、アダム・イェーツ、バルベルデらが同タイムでゴールする中、クリス・フルームは8秒、ウランは11秒と若干の差が付きました。メカトラで遅れたバルデは何とか30秒差で留めましたが、デュムランはペナルティも含めると1分10秒差の遅れとなり、せっかくこれまで稼いだリードを失って総合でライバルたちに逆転されてしまいました。

第7、第8と平坦なリエゾンステージを消化すると、日曜の第9ステージはいよいよ「プチ・パリ=ルーベ」。全部で15セクター、合計距離にして21kmもの石畳が待ち受ける、平坦だけど今年のツール前半戦最大の山場。ワールドカップ決勝の前に、是非ご覧あれ。