「大会を席巻したロシアの”ド”根性、クロアチアのテクニックとモドリッチに敗れる」ロシア・ワールドカップ 準々決勝 ロシア-クロアチア

ベスト16ではともにPK戦までもつれ込み、それぞれスペインとデンマークを下して勝ち上がった、ロシアとクロアチアとの準々決勝。フォーメーションはどちらも4-2-3-1で、メンバーもベスト16から1人だけ入れ替えての試合になった。

試合開始からボールをポゼッションするのはクロアチア。それに対してロシアは、自陣にコンパクトな3ラインのゾーンを設定し、クロアチアのボランチにパスが入ると激しくプレスをかける、今大会のトレンドになっている守備で対抗する。

相変わらずボールを奪ってから異様なスプリント力でカウンターを仕掛けるロシアに対し、クロアチアも最初からボランチを経由するのではなく、Cからのサイドチェンジでロシアの守備を横に広げ、出来たスペースを使ってモドリッチとラキティッチがドリブルや縦パスを出す攻撃でリズムを取り戻す。

そしてレビッチがフリーでヘディングしたり、深い位置からのクロスをマンジュキッチが中で合わせたり、右からのアーリークロスをペリシッチが頭で流したりと、クロアチアは何度かチャンスを作ったが決めきれない。

すると先に点を決めたのはロシア。前半31分、チェリシェフがワンツーで中央突破すると最後は左足のミドルを叩き込む。が、クロアチアも39分に左サイドでのワンタッチパスからマンジュキッチが抜け出し、中に走り込んだクラマリッチの頭にピタリとクロスを合わせて同点に追いつく。

後半も前半と同じようにクロアチアが主導権を握り、14分に大きな展開からゴール前で競り合ったこぼれ球を拾ったペリシッチがPA内でシュート、しかしボールはポストに当たってギリギリ反対サイドの枠をかすめてゴールならず。

ここでクロアチアは疲れの見えるペリシッチを下げてブロゾビッチをアンカーで投入、1トップがクラマリッチでウイングがレビッチとマンジュキッチ、インサイドハーフにラキティッチとモドリッチが並ぶ4-3-3に変更、サイド攻撃をさらに強化する。それを見てか、ロシアも4-1-4-1のような形に並びを変える。

その後は攻守に獅子奮迅の活躍を見せるモドリッチを中心に、クロアチアがセカンドボールを支配してロシアを攻め立てるが、何故か一向にボールへアプローチする動きが落ちないロシアの前に決定機までは作れず、ロシアもクロアチアもベスト16に続いての延長戦へと突入する。

クロアチアは、後半終了間際にクラマリッチと代わったコバチッチを右SHに、マンジュキッチが左、センターにレビッチとまた前線を変更するもコバチッチは上手く試合に入れず、さらに延長後半すぐにヴルサリコも怪我で4人目の交代枠を使ってしまう。

延長前半9分に、足が止まったクロアチアはロヴレンのミスパスから決定的なピンチを作ってしまうが、ロヴレンが腕で押し倒したように見えたシーンがノーファールの判定でクロアチアは命拾い。逆にクロアチアはその直後、CKからヴィダが合わせたヘディングは威力が無かったものの、他の選手がブラインドになってGKアキンフェエフが反応できず、ボールはぎりぎりニアに吸い込まれてしまう。

そこからこの試合初めて引いて守るクロアチアに対してロシアが捨て身の猛攻を仕掛けるが、GKスバシッチがシュートやクロスをしっかり跳ね返し、これはロシアもさすがに厳しいかなと思った延長後半8分、PA右角でピバリッチがハンドを犯してしまいロシアがFKを得ると、ジャゴエフのキックにフェルナンデスがクロアチアのゾーンに割って飛び込み土壇場で再び同点、さらにまだまだ走れるロシアは勢いに乗って攻め立てるが、そのままスコアは動かずPK戦に。

PK戦は2人目までに1人ずつ失敗、3人目はロシアのフェルナンデスが大きく外してしまったのに対し、モドリッチはアキンフェエフの手に当たりながらもゴールイン。4人目、5人目の先攻ロシアまで決まり、最後に立ったラキティッチのキックはアキンフェエフの逆を突き、クロアチアがPK戦を5-4でモノにし、準決勝へと駒を進めた。

ロシアは最後までスプリントを繰り返して食らいついていたが、さすがにPK戦は運動量とは関係がなかった。長年、趣味で自転車レースを見ていると怪しい選手は何となく分かるもので、そういう意味でも2002年の赤いチームとは違って「走り過ぎる」ロシアがここぐらいで負けてくれたのは良かったと思う。モドリッチも全試合出場している割に走りまくっていたけど(笑)。クロアチアはロヴレン、ヴルサリコ、スバシッチが怪我、疲労も溜まって野戦病院状態だが、何とか明日までに回復して好試合を期待したいね。