「PK戦の呪いは払拭したものの、準々決勝に向けて大きな弱点を露呈したイングランド」ロシア・ワールドカップ ベスト16 コロンビア-イングランド

コロンビアはハメス・ロドリゲスが怪我のためベンチ外で、ファルカオとクアドラードの2トップにトップ下がキンテロの4-3-1-2、イングランドはケインとスターリングの2トップになった3-1-4-2。

試合は序盤からイングランドのペースで、サイドを中心にボールを保持するが、中盤の3人に対してマンマークの形でフォーメーションをあわせたコロンビアの守備によって良い形でラストパスやクロスが出せず、前半の決定機は16分に右からのクロスにハリー・ケインがファーでヘディングを合わせたぐらい。

コロンビアは堅い守備からカウンターを狙うのだが、ハメス・ロドリゲスを欠いた攻撃は展開力が不足し、3試合目をターンオーバーしているイングランドはプレスバックを怠らず、あっという間にコロンビアの攻撃がスピードダウンさせられてしまう。

前半ロスタイムに、コロンビアはキンテロのミドルシュート、イングランドは右サイドからのクロスにリンガードのボレーと互いにチャンスは作ったものの、スコアに動きが無いまま前半を折り返す。

後半も静かな立ち上がりになったが、8分に意外な形で試合が動く。イングランドの右CKの場面で、日本戦でもPKを与えてしまったカルロス・サンチェスがハリー・ケインを抱え込んで倒したという判定でPKを献上、これをケインがど真ん中に蹴って自身大会6点目となる先制点を決める。

ここでコロンビアはバッカを投入、クアドラードを右SHに移して4-4-2に変更する。すると後半35分、ウォーカーのミスを拾ったバッカからクアドラードに決定的なパスが出たが、クアドラードがシュートを上に外してしまい同点ならず。

その後も、ズルズル下がるだけのイングランドに対してコロンビアは猛攻を仕掛けるがなかなかゴールが奪えず、このままイングランドが逃げ切るかと思われたロスタイム3分、GKオスピナも上がったCKでミナがヘディングをねじ込んで試合は延長戦に突入する。

延長戦は、4-4-2でゾーンを組んで守るコロンビアに対してイングランドが攻めあぐね、後半終了間際に投入したヴァーディが活きるスペースが無い。対するコロンビアはボールを奪ったら素早くイングランドの3バックの外側にできるスペースを突くカウンターが機能するが得点には至らず。

延長後半はイングランドがヴァーディの動き出しに合わせた攻撃でリズムを作り、7分にローズが攻撃参加してニアゾーンから放ったシュートはわずかに枠を外れ、ヴァーディの飛び出しからリンガードが合わせるもブロックされる。そして120分間で決着は付かずPK戦へ。

PK戦は、先攻のコロンビアが3人目まで全て成功したのに対し、イングランドはヘンダーソンがオスピナにセーブされ絶体絶命。しかしコロンビアはウリベがクロスバーに当てて失敗、5人目のバッカがピックフォードに阻まれイングランドが逆転、最後のダイアーも冷静に決め、イングランドがPK戦で勝てないジンクスを吹き飛ばしてベスト8へ進出した。

ただイングランドは勝利したとは言え、疲れの見えるコロンビア相手に運動量で上回っただけで、とてもこの工夫のない遅攻ではベスト8で対戦するスウェーデンの堅い守備を崩せなさそうだ。控えFWもヴァーディ、ラッシュフォードとスペースがあって活きる選手ばかり。ロースコアが必至な試合の中では、セットプレイが試合の行方を左右する事になりそうだ。