「メッシとムバッペだけではない、美しくも残酷な新旧交代劇」ロシア・ワールドカップ ベスト16 フランス-アルゼンチン

グループリーグを先に2勝し、3試合目をターンオーバー出来たフランスと、辛くも3試合目にして初勝利、ギリギリでグループリーグ突破を決めたアルゼンチンが対戦した、ベスト16の初カード。

アルゼンチンのフォーメーションは4-3-3で、前線はディ・マリア、メッシ、パボンの3人で、センターのメッシは偽9番としてプレイ。イグアインとアグエロはベンチ、マスチェラーノがアンカーに入る。フランスは4-2-3-1で、ジルーが1トップに2列目がマテュイディ、グリーズマン、ムバッペという並び。

両チームとも慎重な立ち上がりだったが、前半10分にカウンターで自陣からムバッペが突進、PA内で思わずロホが腕をかけて倒しPK。これをグリーズマンがGKアルマーニの逆を突いたキックを決めてフランスが先制する。

奇策の0トップで臨んだアルゼンチンは、肝心のメッシが全くボールに触れず、ほとんど得点の匂いを感じなかったのだが、前半40分にスローインからの流れでディ・マリアが完璧なミドルシュートを決め、唐突に同点へと追いついてしまう。さらに後半立ち上がり、CKからメッシがミドルシュートを放つと、これがメルカドの足に当たってコースが変わり勝ち越しゴールになってしまう。

リードしたアルゼンチンは、4-5-1のような形で自陣にゾーンを築いて守ろうとするが、後半12分に左サイドへの長いボールから、クロスが流れたところをフランスの右SBパバールがダイレクトでゴラッソゴールを決めて同点の追いつく。さらにフランスは、後半18分にゴール前での混戦からムバッペがスルッと抜け出し、シュートはアルゼンチンGKアルマーニの手を弾いて勝ち越しゴールが決まる。

その直後にアルゼンチンはアグエロを投入、メッシとの2トップにした4-4-2にするが、フランスはカウンターからジルーが中央で繋ぎ、右サイドに走り込んだムバッペが2ゴール目を決めて4点目。

その後は中央を固めるフランスに対してアルゼンチンがサイドから切り崩そうとするも、なかなか決定的な場面を作れず、39分にゴール前でメッシが抜け出すもシュートは力なくGK正面へ飛んでしまう。

アルゼンチンは後半ロスタイム2分にメッシのアーリークロスにアグエロが飛び込んでヘディングシュートを決めて1点差に迫り、最後はアグエロのシュートをメサが合わせるも枠の外で万事休す。派手な打ち合いになった試合は結局フランスが4-3で逃げ切り、ベスト8へと駒を進めた。

おそらくメッシは夢だったW杯優勝がこれで完全に潰えた事になり、キャッチフレーズ的にはメッシからムバッペへのスター新旧交代なんだろうけど、コンディションの差があったとは言えカンテとマスチェラーノという「潰し屋」の差が結果に出た試合だったように思う。

1対1でゴリゴリと突破するアルゼンチンの前にはカンテが立ちはだかり、マスチェラーノは大きく鋭いフランスのダイレクトパスを止められなかった。メッシを裏で支え続けたマスチェラーノは代表引退を表明、これでアルゼンチンの1つの時代が終わった。