「危うく宇佐美と心中しかけた西野ジャパン、勝ち抜けという結果以外に得た収穫は?」ロシア・ワールドカップ グループH 日本-ポーランド

昨日の忖度サッカーに対しては、スタメンの出来が酷いとか世界に恥を晒したとか西野監督の豪胆采配だとか、世間ではやたらと毀誉褒貶が激しい事になってるけど、前にも書いたように西野さんは監督を引き受けた時点で、どんな結果になっても自分が責任を取ればいいと腹をくくっていたはずなので、そういう人は強いよね。

それはこれまでの2戦で不当にバッシングを受けていた川島もそうで、彼らは今回のW杯でやらかしたとしても失うものはそれほど大きくないわけで、これが若い監督、選手ならもしここで失敗したら自分の未来が閉ざされてしまうと迷いが出たかもしれない。背水の陣ということわざがあるけど、それが如実に表れた日本のグループリーグだったと思う。

とは言え、ポーランド戦の内容について不問とする訳にはいかない。セネガル戦のドローで西野監督の手腕がやたらと持ち上げられていたけど、ガーナ戦とスイス戦、それに対するパラグアイ戦の内容的な落差から、このチームは監督から明確な戦術を与えられているわけではなく、選手が主導して戦術を作り上げているのだなと思っていた。

案の定、ポーランド戦で6人のメンバーを変更、ポジショナルプレーの原則をクラブで実行している乾、原口、香川、長谷部が欠けた事でほぼ戦術レスな試合になってしまった。今朝起きてから少しNHKの公式サイトで戦術カメラのビデオを見ていたんだけど、特にチームにとって大きな問題を引き起こしていたのは宇佐美のプレーだった。

宇佐美はDFラインがボールを持っている時は左サイドのタッチライン沿いに立っているんだけど、日本が中盤でボールを持つと岡崎がいる中へフラフラと入り込んでしまう。それで空いたスペースに長友が上がり、バランスを取るために山口が左下に寄らざるを得ない。柴崎はポーランドのマークを受けているのでDFラインまで下がる、当然ながらバイタルはがら空き。途中から柴崎が必死で長谷部役をやっていたけど、ポジションのバランスは無茶苦茶だった。

そしてポーランドにボールを奪われると、宇佐美、酒井高徳、山口の3人はすぐにボールホルダーへと食いついてしまい、しかも安易に飛び込んであっさりと抜かれてしまう。周りの選手がスライドしてカバーするも、オリジナルポジションを空ける事になるのでゾーンが崩壊、ことごとくセカンドボールをポーランドに拾われるという悪循環を起こしていた。武藤はセルフィッシュなプレイに終始、酒井高徳はクラブでのバタバタプレイそのまんま。カウンターから完全にやられた場面もあったので、0-1で終えられたのはラッキーなぐらいに弱いチームだった。

まあこれで、今大会の後も西野監督が続投という意見が沈静化したのは良かったんじゃないかな。でもベスト8になってしまうとまた再燃するだろうけど(苦笑)。

でも個人的には、ハリルホジッチが解任されて西野監督が就任した事で、W杯は3戦ともこんな試合で終わるかもと思っていたので、コロンビア戦開始わずか3分で相手が退場してくれたのを筆頭に、ベスト16に残れたのは本当にラッキーだった。そう考えると、恥がどうとかいうのは本当に贅沢な話だ(笑)。

今回の試合も、こんな内容でベスト16に上がれてしまった事で、ベルギー戦では見返したいと選手は思っているだろうし、日韓大会や南アフリカ大会のように決勝トーナメントに行った事に満足して終わりにはならないはず。ドイツを見れば分かる通り、こういう一発勝負ではフィジカル的な疲労よりもメンタルのコンディションがモノを言うもので、ポーランド戦に結果以外の収穫があったとすればそこなんじゃないかという気がするね。