「イニエスタのプレイは変態的に素晴らしいが、吉田孝行監督の心労やいかに」スペイン・リーガエスパニョーラ第38節 バルセロナ-レアル・ソシエダ

昨日は、せっかくヴィッセル神戸へのイニエスタ移籍が決定したので、バルセロナでのラストマッチとなった最終節のレアル・ソシエダ戦を、もちろんイニエスタのプレイに注目して観戦した。

フォーメーション的には、レアル・ソシエダがはかつてマンUで香川とスタメンを争ったヤヌザイが右SHに入った4-2-3-1。バルサはいつもの4-3-3で、イニエスタは左インサイドハーフとして先発、3トップはコウチーニョ、スアレス、デンベレという並びで、メッシはベンチスタート。

既にリーガでは優勝を決めてチャンピオンズリーグはローマに敗退、ワールドカップを控えたホームでの最終戦という事で親善試合モードなのか、あまりインテンシティの高さを感じないバルサの攻撃。

この試合がバルサでのラストとなるイニエスタには、チームメイトも意識してボールを集めてくるし、イニエスタもミドルシュートを狙ったり、ダブルタッチからPA内までドリブルで切れ込むなど、いつになく自分でゴールを狙う意欲が見える。

しかし前半のチャンスはレアル・ソシエダのほうが多く、ヤヌザイのサイドからカットインするドリブルなど鋭いカウンターからバルサゴールに迫るが、バルサGKテア・シュテーゲンからなかなかゴールを奪うことが出来ない。

ところが後半の12分、コウチーニョが左サイドからドリブルでゴールに迫り、ソシエダの守備陣は2人でマークに行ったのだが、細かいカットインであっという間にその2人を置き去りにし、右足で巻いて落とすシュートがファーサイドのポストに当たって入るゴラッソを決め、バルサが何も無いところからいきなり得点をもぎ取ってしまう。

結局イニエスタは後半の36分、カンプ・ノウに詰めかけた満員の観客からスタンディング・オベーションを受けながら交代。キャプテンマークをメッシに渡してのラストシーンだった。

改めてイニエスタのプレイを1試合通じて見てみたけど、上手い選手だらけのバルサの中でやはり別格に”変態的”だなと(笑)。両足の間からボールが離れないダブルタッチやドリブル、PAやや外からの針の穴を通すようなスルーパス、地上が駄目なら空中からと、ピンポイントのタイミングで落下する浮き球パスも凄いんだけど、やなり何と言ってもトラップの凄さ。

どんなスピードのパスをどんな体勢で受けても、トラップで跳ね返って止まるボールの距離が必ず等しく、作用反作用の物理法則に反しているような気持ち悪さがある。ジダンも足にピタリとくっつくトラップをしていたが、それは旗や暖簾にボールをぶつけるとスポッと包み込まれて落ちる物理現象のようでまだ納得が行く感じがする。

ただ、守備には一応戻るけどボールを奪うようなプレイは出来ないし、運動量も毎週90分間プレイするなら平均レベルをかなり落とさないといけない可能性は非常に高い。ポドルスキーもその点ではあまり期待できないので、他の9人がよほど粉骨砕身で走り回らないと、三木谷氏が目標としているACL出場権は厳しいかもしれない。イニエスタとポドルスキーがメンバーにいるだけでも心労が凄そうなのに、さらにオーナーと世間からのプレッシャーを考えると、自分が吉田監督なら絶対に夜逃げするな(笑)。