「リベロ長谷部がきっちり整えた、ウノゼロという塩の城郭」ドイツ・ブンデスリーガ第25節 フランクフルト-ハノーファー96

そこまでブンデスリーガ3位まで躍進していたフランクフルトだったが、先週は中位のシュツットガルトに対して思わぬ敗戦を喫してしまい、チャンピオンズリーグを狙う上では絶対に連敗は許されない状況で臨んだ、ホームのハノーファー戦。しかし前節の無得点が示すように、この試合も最後まで得点力不足に苦しめられた試合になってしまった。

試合のフォーメーションは、フランクフルト、ハノーファーともに3-1-4-2という形で、長谷部はアンカーではなく3バックのセンターで先発。マイヤーなど怪我人は戻りつつあるが、この試合の2トップはレビッチとハラーの並びだった。

試合はどちらも慎重な立ち上がりで、互いに相手の2トップに対して3バックで数的優位を作り、守備時はWBが下がった5バックになってサイドのスペースを埋めてしまうので、組み立てはどうしてもサイドを狙った長いボールが中心にならざるを得ない。その中で長谷部はリベロとしてボールを速く大きく動かそうと努力していたが、なかなか前線が高い位置で基点を作れない。

ようやく前半15分に、右サイドからヴォルフが入れたクロスをレビッチがフリーで合わせるもハノーファーGKチャウナーが片手一本でファインセーブ。するとその直後にロングボールに対して長谷部が高さで競り負け、そのままハノーファーにシュートまで持って行かれるも、コースが無くてフランクフルトGKフラデツキーがしっかりキャッチ。

前半の20分ごろにはハノーファーが押し込んでゴール前で連続攻撃を仕掛けるが、フランクフルトの守備はバタバタしながらも体を張ってシュートを許さず、30分ぐらいには長谷部が味方のパスミスを上手くカバーして高い位置でカウンターを防ぐなど、相手に押されながらも長谷部を中心にシュートは許さない。

しかし攻撃はサイドのコンビネーションでミスが多くてフランクフルトはなかなかリズムが作れず、このまま膠着状態で折り返しになりそうだなと思われた前半38分、右CKから相手のマークを振り切ってフリーで飛び込んだダ・コスタが、攻撃面でのミスを帳消しにする業界なヘディングシュートを決めてホームのフランクフルトが先制する。

後半になるとフランクフルトは攻撃を修正、前線が早いタイミングで動き出してボールを引き出し、たとえボールを奪われても中盤がプレスをかけてセカンドボールを拾う形でリズムを作り、後半8分にはワンツーでボランチのデ・グスマンが抜け出してGKと1対1の場面を作ったが、これもチャウナーに防がれてしまう。

ハノーファーも、フランクフルトが前に出た分カウンターのチャンスが増え、前半はたった1本だったシュートも後半は25分までに5本を放つなど抵抗を見せるが、30分頃からはフランクフルトが引き気味になって試合をコントロール、長谷部は自陣ピッチのあらゆる場所に顔を出して未然にピンチの芽を防いで行く。

そして後半36分に、カウンターから左サイドでレビッチがボールをキープ、ハラーが抜け出しGKと1対1になるがシュートはまたもチャウナーが足1本で防ぎ、40分にもレビッチの抜け出しからクロスをヴォルフが合わせるも、またまたチャウナーの素晴らしい反応でセーブと、フランクフルトはどうしても追加点が奪えない。

ロスタイムにはハノーファーがFKからフリーで抜け出し、フランクフルトもカウンターからボアテングがシュートと、どちらも決定機を作ったが最後まで試合は動かず1-0でフランクフルトが逃げ切り、しょっぱい内容ながらも何とか連敗を防いでチャンピオンズリーグ圏内の4位を死守した。

これで結局3試合連続でFW陣に得点が無く、終盤戦を戦う上で得点力が心もとない状態だが、ここからマイヤーなど復帰した怪我人がどれだけ貢献していけるか。まだまだ長谷部も守備の城郭を整える、辛抱のプレイを強いられる事になりそうだ。