「”指定席”に久々復帰の酒井、盤石の守備でチームの完勝に大きく貢献」フランス・リーグアン第26節 マルセイユ-ボルドー

現在4連勝と絶好調のボルドーをホームに迎えたマルセイユ。中華圏のテレビ向けのサービスなのか、この試合ではユニフォームの氏名表記が漢字になっていて、他の選手は発音の当て字だったのに、酒井宏樹は「樹」が簡体字だった以外はそのまんまでちょっと笑ってしまった。

さてマルセイユのメンバーだが、1トップにジェルマン、2列目にパイェ、サンソン、トヴァンと並んだ4-2-3-1で、SBはアマヴィが先発、酒井は久々に右SBでのスタートになった。

試合は序盤からホームのマルセイユが圧倒的にボールを支配。フォーメーションの表記上は4-3-3のボルドーだが、マルセイユがボールを持つと自陣に4-1-4-1の形でコンパクトなゾーンを敷いてカウンターを狙う形で対抗。酒井も相手のSHが前に出て来ないので、最初から高い位置取りで序盤から積極的なオーバーラップで攻撃に絡む。

ただ上位のリヨンを3-1で破ったボルドーの守備は非常に固く、マルセイユがサイドをいくら支配しても強固なブロックのおかげでバイタルにはほとんど入り込む事ができない。ようやく前半22分にCKからザンボがヘディング、ファーに飛んだボールをボルドーGKコスティルが何とか触り、こぼれ球を拾ったジェルマンがシュートという決定機を作るが、ゴールマウスにいた選手にクリアされてしまう。

30分を過ぎるとマルセイユの攻撃に勢いが無くなり、これは膠着した展開になってしまったかなと思った前半34分、左からのCKに一瞬フリーになったトヴァンがヘッド、これが上手くコースに飛んでトヴァン自身リーグ14得点目となるゴールを決めて、ホームのマルセイユが先制する。

実にマルセイユがポゼッションで75%を記録した前半だったが、後半になると一転してボルドーが反撃。それまで相手陣内でプレスをかけて来なかった2列目の位置取りが見るからに高くなり、ボルドーにもゴール前でのシーンが増え始める。逆にマルセイユもそれまでほとんどスペースが無かった中盤を使えるようになり、試合は攻守が激しく入れ替わる展開に。

後半4分には右サイドのコンビネーションから酒井がクロス、コースは良かったが惜しくもタイミングが合わず、13分にはカウンターからラミが持ち上がり、パイェのスルーパスからサンソンがGKと一対一になるもシュートはコスティルの股に当たってゴールならず。ボルドーも後半15分に、遠めのFKからヘディングを放つもマルセイユGKプレがしっかりキャッチする。

ただ、マルセイユはボールを奪ってカウンターになりそうな機会は多かったものの、あまり無理に攻め急がずボールを落ち着かせる形が多くなり、おそらく監督の指示なのだろうか後半途中から酒井もほとんど攻撃参加せず、明らかに試合を殺しにかかり始める。

そしてその後は互いにシュートを打つような場面はほとんど無くなり、危なげなく試合を運んだマルセイユは、後半ロスタイムにサンソンの強烈なミドルを打つシーンはあったが、GKコスティルにファインセーブで防がれ、試合は結局1-0のまま終了。スコア的には最小点差ではあったが、マルセイユの盤石な試合運びが際立つ内容だった。

酒井のプレイは、1度逆サイドのクロスに相手にマークを外してフリーでシュートを打たれるシーンを作ったものの、それ以外はほぼパーフェクトな守備。特にサイドの高い位置で基点を作りたいボルドーに対して、ロングボール争いでほとんど競り勝っていたのは大きい。これが長友だとそうは行かないからね。現代サッカーではSBにも高さが必要だという証明でもある。

ただ攻撃では、1本良いクロスがあったぐらいでトヴァンのサポート役に終始。前節はアウトサイドでのクロスでアシストと、また酒井の違った面が見られただけに、試合を見ているこちら側としては左SBのほうが新鮮味があって面白いような気がする。ま、贅沢な話なんだけどね(笑)。