「原口と宇佐美の出場時間は、この監督では広がる一方になってしまう」ドイツ・ブンデスリーガ2部 第20節 カイザースラウテルン-デュッセルドルフ

ブンデスリーガのドイツ人監督は、トゥヘルやナーゲルスマン、テデスコのような最先端の戦術を駆使するタイプと、フェーやラッバディアのように選手を並べるだけで後は勝手にやってね、という両極端なパターンが多いのだが、デュッセルドルフのフンケル監督は明らかに後者のタイプだと確信してしまった。

この試合では、デュッセルドルフのフォーメーションは4-3-1-2で、2トップは2試合目にして初先発の原口とラマンを並べて来た。おそらくフンケル監督の狙いとしては、最下位のカイザースラウテルンに対して攻撃的に行きたかったのだと思うが、これが見事なまでに機能しなかった。

原口は明らかに手探り状態でのプレイで、2トップというよりもトップ下の位置でボールを受けようとする動きが多く、中盤前方が混雑してパス回しは終始ギクシャク。逆にボールを奪われるとアンカーの横にあるスペースを使われ、そこからSBの外側へとボールを運ばれて簡単にクロスを上げられてしまっていた。そして前半のうちにフォーメーションを3-1-4-2の3バックに変更、守備時にはサイドのスペースをWBで埋めるようにした事でようやく守備を安定させる始末。

これでようやく原口の仕事がサイドに流れながら高い位置でボールを受ける役割に整理されると、前半38分に原口が右で切り返してから相手に倒され、これは不可解なジャッジで流されてしまったが、41分には原口が左45度から鋭いシュートを放つも惜しくも枠の外と、徐々にデュッセルドルフの攻撃陣の中で存在感を発揮し始める。

しかし後半開始早々の3分にホームのカイザースラウテルンに先制点が入る。前半も鋭い攻撃参加でデュッセルドルフを苦しめていたカイザースラウテルンの右SBムウェネが、DFのクリアボールを拾ってPA内へとドリブルすると、思わずラマンが後ろからタックルで倒してしまいPK、これをモリッツがきっちり決めて1-0。

デュッセルドルフはここから当然反撃を開始、WBが常時上がった状態になってセカンドボールを支配し連続攻撃を仕掛けると、後半16分にラマンが中央でドリブルを仕掛け、一度はは相手DFに阻まれたものの、そのこぼれ球を拾った原口をカイザースラウテルンGKミュラーが倒してしまい、PKゲットと同時にミュラーは2枚目のイエローで退場してしまう。そしてPKは原口が蹴り、コースは読まれていたがボールはGKの手に当たってゴールイン、デュッセルドルフが同点に追いつく。

これでデュッセルドルフはまた4バックにフォーメーションを戻すが、やっぱり単なる前がかりになるだけでリズムはかえって悪くなり、23分には逆にFKからヘディングでポストをかすめる決定機をカイザースラウテルンに作られてしまう。が、30分頃から中盤にスペースが生まれ始めるとまた個人技に優れるデュッセルドルフのペースとなり、32分にラマンが右サイドから中へ切れ込み、ゴール左へロッベンばりのミドルを決めてデュッセルドルフが逆転。

宇佐美は後半42分に2トップの一角で登場、44分にはその宇佐美からのパスを受けた原口が中へドリブル、左でフリーになっていたシュミッツにパスを送ると、シュミッツはダイレクトでGKの股間を抜くシュートを決め、原口のアシストで3点目、デュッセルドルフが結局3-1で逆転勝利、自動昇格圏内である2位をしっかり堅守した。

原口についてはこのレベルでは活躍するのが当たり前だと思っているが、宇佐美がやはり心配である。ベーシックなゾーン・ディフェンスを採る監督が多いスペインリーグなら、乾のように最初はからきしでも戦術的に成長できるのだが、このチームとこの監督ではとても育成は望めそうになく、戦術を理解できている原口が優遇される流れは変わらないだろう。移籍も簡単には出来ないだろうし、さてどうしたものか・・・