「ロシアW杯のカギを握るのは井手口の移籍?」日本サッカー新時代~2018年への旅~

昨日は特に見たいと思う試合が無かったので、1/7にテレビ朝日系列で放送されていた「日本サッカー新時代~2018年への旅~」という番組の録画を見ていました。

番組の構成としては、久保と浅野の対談、大迫と原口への同じ質問でのインタビュー、そして長友の単独インタビュー、杉本への密着取材という形でした。なぜ杉本にクローズアップしたのはいまいち意図が分かりませんでしたが、子供の頃は眉毛を剃り上げていて顔が怖かったのが印象に残りました(笑)。

詳しい内容については省略しますが、久保と浅野、大迫、原口の4人がW杯に向けての課題として守備を挙げていたのが興味深かったですね。久保と浅野についてはどちらかと言うと個人能力としての守備力を語っていましたが、原口については明確に組織としての守備と明言していました。

ご存知のように、今のハリルジャパンでは強豪相手には4-1-4-1のフォーメーションを採用する事が多いです。本来であれば、ゾーン・ディフェンスをベースとした戦術では、4-4-2または4-2-3-1が基本で、アジア相手の試合ではほぼその形で通してきました。

ただ4-4-2の3ラインディフェンスで重要なのは、ダブルボランチの働きです。彼らが常に周りとポジションバランスを取りながらアタック&カバーの連携を取れるかが重要なのですが、残念ながらその仕事が世界レベルで実行できる選手が日本にはほとんどいません。

ハリルホジッチがデュエルで信頼を置いている山口と井手口は、どちらも猟犬タイプでボールや人に食らいつくのが持ち味ですし、長谷部はまだ彼らに比べるとマシですが、本質的にはセグンダボランチでフランクフルトでもバイタルをおざなりにする事が多いです。

ブラジルW杯では4-2-3-1でしたが、コートジボワール戦ではドログバに中盤が引っ張られてスペースを空けてやられましたし、コロンビア戦は言わずもがなな状態で、常に日本代表ではボランチのポジショニングが問題になっています。今の代表ではダブルボランチが持たないとハリルホジッチが考えている可能性は高いです。

もし日本がこれからの練習で4-2-3-1または4-4-2が使えるようになると、4-1-4-1では居場所が無かった岡崎や香川をセカンドストライカーの位置で起用できるようになりますし、戦術的なバリエーションを大きく増やすことが出来ます。

幸いにも、山口はクラブでユン・ジョンファン監督がゾーン・ディフェンスを採用していて徐々にではありますがポジショニングを改善していますし、井手口はゾーン・ディフェンスの先進国であるスペイン2部レオネサへのレンタル移籍が決まっています。

井手口がイギリスでの労働許可証を獲得できたにも関わらず、リーズがレンタルで出した事に疑問が呈されているようですが、井手口が抱えている戦術理解度の問題を考えると、いきなりイングランドでやるよりも乾のようにスペインの指導者に鍛えてもらったほうが良いと思います。まあリーズ首脳がそこまで深く考えていたかは分かりませんがね。

これまでほとんどゾーン・ディフェンスの素養が無く、語学力もゼロに等しい井手口が、半年で戦術理解度を世界レベルにまで高めるのは相当に分の悪い賭けではあるのですが、いずれにせよロシアW杯での日本の運命を担うキーマンである事は間違いないでしょう。