「テクニカルな守備の上田西、前橋育英のゲーゲンプレッシングに粉砕される」高校サッカー選手権 準決勝 前橋育英-上田西

長野県勢としては初のベスト4に進出した上田西。今大会は強豪が相手の守りを崩しきれず負ける試合が多かったので、優勝候補の前橋育英に対してのアップセットがあるかと思ったのだが、ちょっと甘すぎる期待になってしまった。

上田西のフォーメーションは3-4-3の実質5バックだが、ボールサイドのWBがプレスのために前に出て、CBがスライドして逆サイドのWBがDFラインに入った4バックのように守るシステム。以前はヨーロッパのクラブでも見かけたが、最近はほとんど見かけなくなった守備戦術だ。

対する前橋育英は、フォーメーション的には4-4-2だがゾーンを作ることは少なく、徹底的に前からボールを奪いに行くゲーゲンプレッシング。そしてボールを奪うと前線の選手がバイタルで間受けし、そこを基点にサイドが押し上げて分厚い攻撃を仕掛ける形。

試合は序盤から前橋育英がポゼッションで圧倒、上田西は何とか自陣の低い位置でボールを奪うのだが、そこから前橋育英のゲーゲンプレッシングを浴びてしまうため、どうしても前線へ適当なクリアボールを蹴らざるを得ず、セカンドボールをひたすら拾われ続けてしまう。

それでも上田西は何とかGKの鋭い反応でピンチを凌いでいたのだが、前半24分にCKからガンバへの入団が内定しているU-18代表松田陸がニアで合わせ、前橋育英が先制点を決める。その2分後にはエースの飯島が右サイドからのパスに抜け出し、相手のカバーを鋭いフェイントで交わして右足で2点目をゲット。

上田西は前半29分に、中盤で股抜きのパスを受けた根本が同じく股抜きのシュートを決め、県大会から無失点を続けていた前橋育英に対してファーストシュートで1点をもぎ取り、これでリズムが変わるかと思われたのだが、前半36分にハーフウェーラインからスルーパスを受けた五十嵐が上田西のDF2人をスピードで抜き去る3点目を決めて上田西の儚い希望を打ち砕く。

後半も前橋育英の猛攻に対して上田西が何とか粘る展開が続いたが、準々決勝から中ゼロ日という超過密日程の影響からか上田西のマークが後追いになり始めると、18分に飯島が4点目を決めてほぼこれで勝負有り。あとは前橋育英が41分、ロスタイムとさらに得点を積み上げて結果的に6-1の大勝、決勝戦は予想通り流経大柏との試合になった。

終わってみればシュート数は前橋育英の35本に対し、上田西は結局得点になった1本のみと、前橋育英の強さばかりが目立つ試合になったわけだが、3-1となった時点でほぼ試合の行方は決まっていた上に、4点目を取った後もひたすらハイペースで攻め続けていたのはどうなんだろうという気はした。中1日で来る決勝戦に影響が出ないといいのだが・・・