「1トップのポジションで結果を出した浅野は、代表でも同じポジションで起用すべき?」ドイツ・ブンデスリーガ第13節 ハノーファー96-シュツットガルト

開幕からスタメンで起用されながらも3トップのサイドで結果を出せず、前節のドルトムント戦では先発から外れ、いよいよ序列が下がってしまったかと思われた浅野だったが、ハノーファー戦では何と不動のCFだったテロッデに代わって1トップで先発という意外な起用をされて来た。

シュツットガルトもハノーファーも、フォーメーションが3-4-3の完全マッチアップという事で、当然ながら試合は序盤からデュエルの応酬で始まり、前半6分にいきなり左サイドからハノーファーのハルニクがフリーでシュートという大ピンチを作られるも、足を当てそこねてシュツットガルトは命拾い。

浅野は身長196cmを誇る巨漢サネとのマッチアップで、空中戦はもちろん完敗、スペースに流れてボールを受けても相手のリーチが長くて思うようにキープできず、正直言ってあまり1トップとしての仕事は出来ていないが、浅野の執拗な飛び出しで相手DFラインが下がるため、徐々にデュエルの位置がハノーファーゴール寄りになってシュツットガルトのペースに持ち込んで行く。

前半17分、ウイングのブレカロからのクロスを下がりながら当てた浅野のシュートは力なく防がれるも、23分にはボランチのゲントナーが強烈なミドルシュート、これはハノーファーGKチャウナーがかろうじて弾くが、こぼれ球に浅野が反応して押し込み、彼自身の1部リーグ初得点をゲット。その後も浅野のヒールでのワンツーからエズチャンのシュートなど、互いに単発のチャンスはあったがどちらも決められず前半終了。

後半から、ハノーファーはフォーメーションを4-4-2に変更して戦術のミスマッチを誘い、サイドで基点を作って徐々にシュツットガルトを押し込む展開になる。サネのマンマークから解放された浅野は、エズチャンやブレカロとポジションチェンジしつつ、カウンターから前を向く場面を作るようになるが、そこからのパスが弱くて良い形で味方に繋がらない。さらにハノーファーは、シュツットガルトの3トップに対して数で余るDFラインから攻撃参加をするようになり、後半16分にCBのサネがポストに当てるシュートを放つなど、試合は完全にハノーファーペース。

シュツットガルトのヴォルフ監督は、ここでサイドを下げて5-4-1の守備的な形にシフトすると同時に、浅野を下げてテロッデを投入、彼のポストプレイで時間を稼いでラインを押し上げる作戦に変更した。が、その直後にPA内でバドシュトゥバーが相手を抱え込んで倒してしまいPK。その後はシュツットガルトもアイウトンやアオゴがチャンスを作るも得点には繋がらず、試合は結局1-1のドローで終了した。

1トップにテロッデではなく浅野を起用したヴォルフ監督の策はある程度当たった格好にはなったが、内容的にはあまり1トップらしい仕事は出来ていなかったのが正直なところ。ベルギーやブラジルの代表はハノーファーのCBよりもさらに強く上手いし、テクニックがここから格段に上達するとは思えないので、W杯本番で使うならもっと対人スキルを向上させないと厳しいだろう。