「代表のボランチ争いに名乗りを上げそうな酒井高徳」ドイツ・ブンデスリーガ第13節 ハンブルガーSV-ホッフェンハイム

捲土重来を期したはずの今期も、やはり開幕ダッシュに失敗して残留争いの順位に甘んじているHSVだが、前節のシャルケには負けたもののシュツットガルトには3-1で勝利、そして今節の上位ホッフェンハイムも3-0と快勝、ここに来てようやくチームとしての戦い方が固まって来たようだ。

HSVのフォーメーションは、酒井高徳がダブルボランチの一角に入った4-2-3-1。対するホッフェンハイムは3-1-4-2で、その3バックには3トップ、中盤のアンカーとインサイドハーフにはトップ下とダブルボランチでマンマークを当て、ビルドアップを阻害する対策は完全に浸透しつつあるようだ。

当然、そうなるとHSVの戦法的にはハイプレスとなるわけで、試合の立ち上がりにいきなりホッフェンハイムにカウンターから決定機を作られるが、それにもひるまずガンガンと前からプレッシャーをかけて行き、前半6分に左サイドをオーバーラップしたSBドゥグラスにスルーパスが渡り、クロスにアルプが競り合ったらこれが相手の足に当たってオウンゴールとなり、HSVが狙い通りの形で先制する。

そこからはやや膠着した試合展開になったが、HSVのプレスは勢いが落ちず、高いラインを破られて2度ほど危険なクロスを上げられたが中とタイミングが合わずに命拾い。逆にHSVもコスティッチがPA内に入ってからのシュートを放つもコースはGK正面でスコアは動かず前半を折り返す。

後半からはビハインドを負ったホッフェンハイムが逆にハイプレスを繰り出し、ボールを奪うとすぐさまサイドの裏を狙ってパスを通し、クロスの波状攻撃を仕掛けて来る。が、HSVはCBパパドプーロスを中心に、相手にシュートを打たれても最後まで足を出してコースを変えるなど粘り強く守り、カウンターからボビー・ウッドやアルプがホッフェンハイムのゴールを脅かす。

ホッフェンハイムは後半18分にサライ、クラマリッチと選手を一気に2枚替え、その左サイドにボールを集めて押し込み、HSVは3ラインを作って引いて守る時間帯が多くなる。そして後半22分にはHSVのアルプが2度の決定機を作るがホッフェンハイムGKバウマンに防がれると、26分には左サイドを破ったホッフェンハイム・シュルツのシュートはHSVのGKマテニアがギリギリ弾く一進一退の攻防が続く。

ところが意外な形で試合の均衡が破られてしまう。後半30分に、HSVにフリーキックが与えられた時点でハントが交代、それで集中が切れたホッフェンハイムがゴール前に壁を作る前にコスティッチがFKを蹴り、これがあっさり決まってHSVが大きな2点目をゲットする。

その後、ホッフェンハイムはパワープレイ気味に猛攻を仕掛けるがHSVの守備陣は集中を切らさず、逆に後半43分にHSVはロングスローの流れからコスティッチが左サイドで粘り、クロスを頭で折り返したボールに詰めて来たボランチのユングがボレーで合わせ、シュートはダフったが上手くコースに飛んで試合を決める3点目。そしてそのまま3-0で試合終了。内容的には紙一重ではあったが、HSVが勢いでチャンスを次々にもぎ取った試合だった。

この試合の酒井高徳は、まさに中盤のダイナモ。自分の前にいるボールホルダーに絶え間なくプレッシャーをかけ続け、抜かれたらすぐさまプレスバック、マイボール時には常にボールの周りを動いてパスコースを作り、パスを受けたらすぐ味方に繋いでリズムを作るなど、ピッチ内に2人いるんじゃないかという働きぶり。

まあちょっと攻撃センスはアレなので、あまり受け手に優しい次の展開まで計算したようなパスは出せないけれども、ボランチでこれだけの働きが出来るなら代表のポジション争いに十分加われるのではないかと思った。長谷部は怪我持ちで計算できないし、ボランチの層はかなり薄いだけに彼にかかる期待は大きい。この調子を維持して頑張って欲しいね。