「スペイン人監督と日本人選手という組み合わせは、スペイン人同士よりも相性が良いのかも」リーガ・エスパニョーラ第12節 エイバル-ベティス

ここまでリーグ11試合でわずか6得点と、極度の得点力不足に苦しんでいたエイバル。しかし8位と上位に付けているベティスとの試合で何と5-0と、ケチャドバどころではない爆発力を見せて大勝、乾も先発フル出場を果たした。

エイバルはアレホが復帰した事を受けてフォーメーションを4-4-2に戻し、2トップはセルジ・エンリッチとシャルレスの2トップ、乾は左SHで先発した。対するベティスは4-1-4-1という形。

まず開始1分に、左サイドから乾が股抜きのパスからクロスで観客を沸かせると、6分にはまたも乾のアーリークロスにエンリッチが飛び込み、競り合ったベティスDFアマトのオウンゴールを誘ってエイバルが先制点をゲットする。

その後もエイバルは、ベティスが作る4-1-4のラインの間で、乾やSBが上手くボールを受けて基点を作って攻撃のリズムを作り出す。逆にベティスは、SBが上がってアンカーが下がるビルドアップでエイバルのプレスを掻い潜るのだが、ハーフウェーラインから先になると途端に攻撃が停滞、シュートまで持ち込むことが出来ない。

すると29分に、乾からオーバーラップして来た左SBフンカにパスが送られ、クロスを中へ飛び込んで来たボランチのエスカランテがドンピシャのヘッドで2点目を決め、その後は試合をしっかりコントロールして前半を折り返す。

後半になると、高いラインを保つエイバルの裏を取る攻撃をベティスが仕掛け、8分にはダイレクトパスからセルヒオ・レオンに抜け出されGKと1対1の場面を作られてしまうが、アウトサイドで合わせたゴールは枠外で命拾い。

逆に、エイバルはその直後に乾からの浮き球スルーパスにシャルレスが抜け出し、ベティスのマンディがたまらず後ろから引っ張ってしまい、PAギリギリと思われたがPK&一発レッドという厳しい判定。この3点目でほぼ試合は決まってしまった。

あとはモチベーションがガックリ落ちたベティスに対してエイバルはやりたい放題、後半26分にアレホのクロスをエンリッチがスルー、裏に飛び込んだシャルレスが決めて4点目、最後は右への展開からクロスをエンリッチが決めてダメ押し、そして試合終了。

乾は後半15分にドリブルからシュートを放つ場面はあったが、シュートは力なくGKに止められ、結局チームは5得点ながらゴールとアシストは付かず、個人としては少し寂しい結果になってしまった。

ただ、こういう試合になると選手全員がイケイケになってしまう中で、乾はきっちり自分のゾーンを守って攻守でサイドを上下していたのが面白い。ゾーン・ディフェンスには不慣れな癖に、いざマスターすると忠実に戦術を遂行するところが日本人らしいなと(笑)。

日本のJ2ではスペイン人監督が席巻、ハイプレス&ゾーン・ディフェンスを駆使するチームが急増してプチ・リーガエスパニョーラ化している状況だが、意外とスペイン人選手を率いるよりも戦術的には相性が良い組み合わせなのかもしれないね。