「頑なに武藤を1トップで起用しないハリルホジッチの謎」ドイツ・ブンデスリーガ第12節 マインツ-1FCケルン

第7節以降は武藤にゴールが生まれず、得点力不足で勝ちきれない試合が多いマインツと、開幕からまだリーグで1勝すら挙げられず最下位に沈んでいるケルンとの試合は、この土日で疲れた体にとってはなかなか酷な内容の試合だった(笑)。

マインツのフォーメーションは武藤が1トップに入った4-2-3-1、ケルンのほうは4-4-2で、2トップは復帰したコルドバとギラシ、大迫はベンチスタート。

試合はアウェイのケルンが引いて守り、脳筋2トップにひたすらロングボールを入れるアンチ・フットボールを展開。しかしケルンの守備はSHがあまりプレスに行かず、マインツはSBやサイドに流れたボランチが自由にボールを持てるため、特に左SBのブロジンスキのオーバーラップに対して何度もサイドチェンジを通してケルンの守備を揺さぶった。

が、マインツもサイドの高い位置で起点を作るまではいいのだが、そこからのクロスが単調で精度が無く、武藤はひたすら中央を固めるケルンの守備陣に埋まってしまってシュートまでたどり着けない。前半13分には、その武藤を囮に使う形で後ろから入り込んだマクシムがアウトサイドのアーリークロスをドフリーでヘディングするが、ボールはあえなく枠の外。

25分頃から、ケルンもマインツのビルドアップに慣れてパスカットから反撃する機会が多くなり、マインツの守備陣もゴール前で相手のマークを外しがちで危ないシーンを作られる。前半35分には武藤のボールロストからギラシに決定機を作られるなど、ギラシには前半だけで3本のシュートを打たれるも、相変わらず力いっぱい蹴るだけで枠に飛ばない。

すると前半の43分、ロングパスに反応した武藤が右サイドで競り合い、一度はボールを取られたがまたそれを奪い返すと、ボールを拾ったデブラシスが中へドリブルを仕掛けたところで倒されPK。ビデオ判定にかけられたが判定は変わらず、これをブロジンスキが決めてマインツが先制、前半を折り返す。

後半になると、そこまで良い飛び出しを見せていたにも関わらず、味方から全くボールが来なかった武藤にもようやく縦パスが来るようになり、前に出て来たケルンに対して中盤でのポストプレイが機能、マインツはカウンターから良い形を作るようになる。

ケルンはここでようやく右SHに大迫を投入すると、早速バイタルで顔を出して正確なタッチから素早くターン、前線にスルーパスを通して決定機を作るなど、それまでチームに全く存在してなかったパスワークが、大迫1人の投入で蘇る。が、大迫のパスは良いもののシュートの調子はまだ戻らず、後半24分と35分にミドルシュートを放つもののどちらもバーの上。

後半25分に、ビッテンコートと絡んで倒れたドナーティが相手の手を払おうとした行為が報復とみなされ、厳しい判定だったが一発レッドで退場。しかしこれで守りを固める事に専念したマインツに対して、かえってケルンは攻めあぐねるようになり、ピサーロとヨイッチに決定機があったぐらいでスコアはそのまま動かず、マインツが1-0のまま逃げ切った。

ケルンはこれで泥沼の10敗目。コルドバもギラシも技術や決定力は皆無、大迫がチャンスメイクして大迫がゴールしないと浮上できそうにない。もはや冬の移籍に期待するしか無いのか。マインツは、相変わらず前線で武藤1人が孤軍奮闘。代表でも1トップで十分やれると思うんだけど、何故かハリルホジッチはサイドでしか起用せず評価も低いまま。

ブラジル戦やベルギー戦を見ても、強豪相手にはとにかく前でボールを収めて時間を作れる1トップが必要で、それだけの役割であれば、大迫だけじゃなくて金崎、武藤、本田でも十分務まる仕事だと思うんだけどねえ・・・そこに一線を引いている基準は一体何なのか、ライターの方々には是非ともハリルホジッチに突っ込んで聞いて欲しいところである。