「森岡にブラジル戦のリベンジを期待するのは、まだ少々酷なのかも」ベルギー・ジュピラー・プロリーグ第14節 ワースラント・ベフェレン-ムスクロン

3年前に、アギーレ監督によっていきなりブラジル戦の先発に抜擢され、文字通り何も出来ずに惨敗し、その後はすっかり代表から呼ばれる事が無くなってしまった森岡。しかしポーランド、ベルギーと海外移籍で結果を出し、奇しくも再びブラジルと対戦する欧州遠征で久々の代表メンバーへの復帰。

個人的には、ハリルホジッチのサッカーで古典的10番タイプである森岡が居場所を確保するのは難しいと思っていて、それなのに招集したのには、何か光るものを見つけたのかなと思って、先日行われたムスクロンとの試合を見てみたのだが、森岡が得点を決めて2-0で勝った割にはあまりスッキリしない気分が残ってしまった。

それは森岡個人と言うよりはチームの問題で、ベフェレンのフォーメーションは4-1-4-1で森岡は右のインサイドハーフで先発していたのだが、2列目とDFラインが大きく間延びしているために、攻撃になっても選手間の距離が遠くてパスがなかなか通らず、ミスからボールを奪われると当然中盤のプレスもかからず、アンカー脇のスペースがスカスカなので、あっという間に自陣ゴール前までボールを持って行かれてしまう。

ムスクロン自体の攻撃はFWへのロングボールがほとんどなのだが、ムスクロンのほうがコンパクトなのでセカンドボール争いは負けるし、ミスからショートカウンターは食らうしで、全く良いところがない。森岡もマンマークは受けてないものの、中盤で孤立して味方からパスが来ず、一応相手のボランチにプレスをかけに行くのだが、パスコースを切るのが関の山でボールを奪うところまで行けてない。

しかし先制点を奪ったのはベフェレン。前半25分に、中盤でファールを受けると早いリスタートから左へ展開、クロスをPA中へ入り込んだ森岡がフリーでヘディングを合わせ、そこまで全くチャンスらしいチャンスを作れなかったベフェレンが、まさにワンチャンスでゴールを決めてしまう。

その後もベフェレンの内容は向上せず、相変わらずムスクロンのペースが続くのだが、相手の決定力不足に助けられてリードを保っていると、後半15分に森岡のパスを起点に右サイドへ攻め込み、ボリェヴィッチのクロスをテリンが流し、ファーサイドに詰めていたアンボマーが押し込んでベフェレンが効率よく2点目をゲットする。

この得点以降はベフェレンが守備的になり、自陣にゾーンを組む時間が多くなって間延び自体は改善されたものの、クロスや縦パスはバンバン入れられて危ないシーンは作られたが、後半35分の直接FKはポストに当たるなどムスクロンに運が無く、試合はそのまま2-0で終了。ベフェレンはこれでリーグ5位に浮上した。

森岡については得点の結果は出したものの、やはり欧州トップリーグレベルに比べるとインテンシティが低く、同じトップ下タイプとしては香川や柴崎からは一歩下がるという見方は変わらない。ゴール前に入り込む意欲、決定力という点では彼らよりも優れている部分があるので、この欧州遠征で弱点部分をハリルホジッチに鍛えてもらいたいところだ。