「なぜ、エイバルは乾という牙を内に隠してしまうのだろうか」スペイン・リーガエスパニョーラ第10節 エイバル-レバンテ

ここまでリーグ戦の9試合で、わずか3ゴールという深刻な得点力不足に陥り降格圏ギリギリの17位に喘いでいるエイバル。ホームで迎えた12位のレバンテ戦は、乾が左のインサイドハーフに入った3-1-4-2の攻撃的な形で臨んだが、試合はまさにエイバルの悩みを象徴するような流れになってしまう。

前半の15分までにエイバルが記録したポゼッション率は何と85%。左右のWBが乾よりも高い位置を取って4トップのような形で徹底的にレバンテをサイドから攻め立て、その15分間でCKやクロスを11本も放ち、乾も2度ほどPA内でドリブルを仕掛けてライン際から折り返すプレイを見せたが、いずれも得点には繋がらない。

20分頃からは、レバンテのロングボールを1トップのモレノがキープする形を作られ始め、徐々にエイバルの勢いが落ちて来る。乾も相手のインサイドハーフにスペースを消されてあまりボールを触れず、左WBのホセ・アンヘルは単独突破を狙うばかりでサイドのコンビネーションが無く、ボールを保持する割には相手を崩し切る形が作れない。それでも28分には乾がクロスのこぼれ球をシュートするがGK正面。

すると前半の35分、一発のパスでエイバルDFラインが裏を取られ、抜け出したモラレスに決められワンチャンスで先制点を献上すると、その直後にも左からのサイドチェンジを受けたモラレスのクロスを、中へ走り込んだバルディが合わせてあっという間に2失点。

その嫌なムードを断ち切ったのが乾のプレイ。後半5分に縦パスを受けた乾がワントラップで中央へ方向転換、そこからドリブルで切れ込んだところを相手に倒されゴール前でFK。これをアルビージャがゴール左上に豪快な一発を叩き込んでエイバルが1点差に迫る。

エイバルは前半同様に、その後も乾のサイドを中心に相手を押し込みながらも右サイドの攻撃があまり機能せず、6バック状態で守りを固めるレバンテを攻めあぐねていたが、後半28分に左サイドの深い位置からリターンパスを受けた乾がまたもPA内へ切れ込み、シュートはレバンテGKラウル・フェルナンドに阻まれたものの、こぼれ球をシャルレスが押し込みエイバルが同点に追いつく。

が、その後はやや荒れた展開になって度々試合が止まり、エイバルも攻め疲れて攻撃に迫力を欠き、互いに決定機を1度ずつ作ったがスコアは動かず2-2で試合終了。ひたすら相手が守備を固めたところで遅攻からクロスを上げては2トップが役立たずで跳ね返されるだけという、どこぞの代表を見ているようで気が重くなる試合だった。

しかしエイバルはチャンスメイクはほとんど乾のドリブルから始まっているのに、わざわざインサイドハーフという低めのポジションに置いても意味ないよね。2トップの左とWB、乾の連携、ポジションチェンジの意識も薄いし、結局2失点とも高く上がった左WBの裏を取られたのが原因だし、わざわざ3バックにした理由が分からない。FWに2人並べてもこれだから、まだまだエイバルの苦境は続きそうである。