「長崎の躍進はジャパネットたかた効果だけでは無い」J2第39節 ロアッソ熊本-Vファーレン長崎

今年の春には、前社長の放漫経営による大幅赤字が発覚、クラブの危機が叫ばれていたのに、そこにジャパネットたかたの創業者である高田明氏が社長に就任、ほとんどの株式を取得した上に出資という完璧な態勢に生まれ変わったVファーレン長崎。

そしていきなり債務超過によるJ3降格危機から、今シーズンは終盤になってもJ1自動昇格枠の2位に付ける快進撃を見せ、その理由が経営の安定にあるのは確かだろうが、サッカー的にはどうなのかなと思ってロアッソ熊本との試合を見てみた。

熊本も長崎もフォーメーションは同じ3-4-3のマッチアップだが、長崎のほうがオーソドックスな3バックなのに対し、熊本はボールサイドのSB高い位置に上がり、3バックがスライドして反対サイドのSBがDFラインに下がって4バックになる可変システム。

試合は風上に立った長崎がロングボールで手早く熊本陣内にボールを送り込み、セカンドボールを拾ってのサイド攻撃で熊本ゴールを脅かすが、連続するCKやロングスローに粘り強く耐えると、前半の21分にはカウンターからのロビングパスを、DFライン裏に走り込んだ八久保が、決まっていればベストゴールになっただろう美しいボレーを放つが、惜しくもボールは枠の外。

すると前半27分に、右サイドでファンマからパスを受けた澤田が密集をドリブル突破、ライン際から上げたクロスをファーサイドにフリーで上がっていたDF田上が頭で押し込み長崎が先制点をゲットすると、その4分後にも全く同じような形で澤田がクロス、今度は香川がDFと競り勝ってヘディングを決め2点差に。

後半になって熊本の反撃が期待されたが、長崎は5バックでしっかり自陣のスペースを埋めつつ、中盤の積極的な追い回しからボールを奪うと素早く速攻と、攻守の切り換えで熊本を上回り、相手の反撃を許さない。

熊本は28分にグスタボを投入して4-4-2にシステムを変更、それまで孤立気味だった1トップ安に加えて前線の基点を増やし、FWが交互にサイドへ流れてロングパスを受ける形が機能し、ようやく熊本に攻撃のリズムが生まれるが、ラストプレイの精度を欠いてグスタボが惜しいシュートを放っただけで得点ならず、試合は0-2で長崎が勝利した。

長崎は高木監督らしい、しっかりした守備組織をベースにした堅守速攻で安定した内容で、2位は全くフロックでないのを実感。ただJ1に上がって残留できる戦力かというと現時点では微妙だが、そこは社長の経営手腕と補強に期待したいところだね。