「レナト・サンチェスと岡崎の差に見る、プレミアリーグへの適応力」イングランド・プレミアリーグ第9節 スウォンジー・シティ-レスター・シティ

前節のホームWBA戦で引き分け、シェイクスピア監督の解任に踏み切ったレスター・シティ。暫定監督として指揮を取る事になったアップルトンがどういう選手起用をするか注目されたのだが、WBA戦ではベンチスタートだった岡崎が先発に復帰してヴァーディとコンビを組む4-4-1-1と、またしても原点回帰の布陣になった。

対するスウォンジーは、6億円近いレンタル料で獲得したバイエルンのレナト・サンチェスがインサイドハーフで先発した4-3-3で、ホームの試合という事もあって序盤からボールを保持する展開になるのだが、各選手がボールを持つ時間が長くてレスターのゾーンをほとんど動かすことが出来ない。

中でも岡崎の働きは効果的で、アップルトン監督が具体的に言及しているように、スウォンジーがボールを奪ったらアンカーに入ったブリットンを素早くマークし、その攻撃を遅らせるわずかな時間が、レスターの守備を大きく助けていた。そして新加入のイボーラは、幅広く動き回ってプレスをかけるエンディディを上手くカバーし、確かなテクニックと判断で上手くボールを繋げていて、レスターのサッカーが見違えるように安定していた。

さらに岡崎は攻撃でも活躍、前半25分にカウンターからしっかりと縦パスを受けると、すぐさま左サイドを駆け上がったマフレズにサイドチェンジを通し、スウォンジーCBフェデリコ・フェルナンデスのオウンゴールを誘発すると、後半4分にもやはりカウンターからオルブライトンのサイドチェンジを受けたマフレズの折り返しを押し込み、リーグ4点目となるゴールを決めるなど全得点に絡んで見せた。

後半10分にCKからモウソンに振り向きざまのゴールを決められ、岡崎が後半23分にキングと交代してからはさらに守備が不安定になってドタバタしてしまういつものレスターになったが、何とかGKシュマイケルの奮闘もあってレスターが逃げ切り。どの監督も勝ちきれなくなると、イヘアナチョなど個人能力の高そうな選手を起用してみるのだがことごとく失敗、結局は岡崎の先発に戻るという歴史をまた繰り返す格好になった。

逆にレナト・サンチェスは、まだプレミアリーグのペースに慣れておらず、攻守の切り替えが遅くてプレイエリアが右サイド中央に固まってしまい、ボールを持てばフィジカルの強さは見せるのだが、決定的なシーンに絡むことが少なく期待された働きとは程遠い出来。後半からは左SHにポジションを移したが、さらにボールタッチは少なくなって33分に交代。つくづく、プレミアリーグは特殊な環境なんだなと思い知らされる、タレントでは天と地ほどの差がある両者の明暗だったね。