「これが寄せ集めの現実なのだが、ハイチ戦よりは未来が見えた試合」U-17ワールドカップ グループE 日本-ニューカレドニア

フランスとホンジュラスに合計11点を取られたニューカレドニアに、日本は予選を突破したとは言え、1-1のドローという”失態”を演じてしまったわけだが、個人的にはそんなに落胆するような試合じゃなかったかなと。

正直、試合直後のインタビューで森山監督が「寄せ集め」と本音をバラしてしまったように、レギュラー陣と今回の先発メンバーとの実力差は想像以上に大きかった。その彼らが、世界大会初出場のプレッシャーからか消極的なプレイを繰り返していたわけだから、そりゃ上手く行かないのも当然である。

ボランチの山崎はミスが多く、池高はサイドで仕掛けられずクロス精度も駄目、FWの山田は動き出しが無くて消えていた。サブ組の中で比較的マシだったのは椿ぐらいだろうか。レギュラー陣から唯一先発していた中村が負傷で交代してからは、特にチャンスらしいチャンスも無くなるなど。U-17の弱点であるボランチとSBの層の薄さ、平川が居ないと全く攻撃が組み立てられない事実を改めて突きつけられた格好になった。

それでも日本は前半7分に中村がサイドでのフェイントから突破してニアにゴールを決め、その後もチャンスは多く作ったのだが、GKのセーブからゴールライン上でクリアされたり、シュートがバーやポストに当たったりしているうちに、ニューカレドニアの選手がどんどん自信を付けていったように見えた。

まあ今までの日本ユースもそうだったのだが、1戦目、2戦目は経験不足でガチガチになってまるで実力が出せず、予選敗退が濃厚になった3戦目になってやっとプレッシャーから開放されてのびのびと本来の実力を出すパターンが多かったからね。ニューカレドニアも大陸間予選を突破してきたわけだし、アジア1次予選で出て来る国ほどの実力差は無かったのだろう。勝ち点1のために、最後まで必死で戦う姿は敵ながら天晴だった。

とは言え、日本サッカー全体で考えるといくつか希望はあった。個人能力の低さゆえミスにはなっていたけど、大きなサイドチェンジはトライしていたし、DF間のビルドアップもダイレクトを交えてスピードを上げる努力をしていた。選手全体の意識も比較的前を向いており、ハイチ戦のA代表の彼らよりはよほど戦術理解度は高く、育成の方向性は間違ってないという確信は持てた。

さらに後半12分の交代から、日本はボランチが下がってSBがWBに上がる3-4-3へと変化し、その後はサイドの高い位置で何度も基点を作り、ニューカレドニアの体を張った守備には阻まれたが、決定機一歩手前の崩しまでは何度も持ち込むことが出来ていた。相手に引かれた時のオプションとして使える目処は立ったと言える。

さて次は優勝候補筆頭のイングランド戦。間違いなく今大会における最大の難関であり、ここを突破すれば優勝も見えて来る。正直なところ実力差はかなりあるだろうが、このニューカレドニア戦のドローで侮ってくれて、フランスほどリスペクトして来なければスキは必ず生まれるはず。全てを出し切って何とか打ち破ってもらいたいね。