「本当は井手口と小林祐希を足せればいいんだけど」キリンチャレンジカップ 日本-ニュージーランド

まあ絵に描いたような辛勝で、ホームでオセアニア代表とこんな試合をしていたのでは、みたいなマスコミの論調が目に見えるようだが、実際のところニュージーランドは想像以上に良いチームだった。

ニュージーランドのフォーメーションは5-3-2とコンフェデと同じ形で、前半はゾーンを作って日本を待ち構えるような形で、大迫のポストプレイや、武藤と香川、久保がバイタルでボールを受けてまた裏へ飛び出す動きに付いて行けず、何度も日本に決定機を作られていたが、日本のシュートミスで失点を逃れて難しい時間帯を切り抜けると、そこから上手く修正をして来た。

まず日本の3トップに対して早めにマンマークを付けて縦パスを防ぎ、徹底して長いボールを放り込んで日本のラインを下げさせ、鋭い出足でセカンドボールを拾ってサイドからゴリ押しという、もしオーストラリア戦でこれをやられたら嫌だった攻撃をニュージーランドがやり出した。

当然、ニュージーランドの選手がボールサイドに寄る分、日本はボールをワイドに散らせて圧力を逃れるべきだったのだが、何故か同じようにボールサイドでパスをつなごうとしてはフィジカルで押し切られる展開が続き、せっかくPKをもらってリードしたのに、左サイドでボールを取りきれず、SBとSHの連携ミスも重なってフリーでクロスを上げられ同点に。

この悪い流れを変えたのが途中出場の小林祐希と乾だった。こばやしについてはカウンター時の足の遅さには絶望したが(笑)、自由なポジショニングで攻撃に流動性をもたらし、冷静にスペースを使ったパスワークで日本のリズムを復活させた。良くも悪くも発想が自由でインテンシティも高くないので両刃の剣ではあるが、相手が引いて膠着状態になった時には使える選手だなと再確認した。

乾は他の選手がピッチコンディションで苦しむ中、いつも通りに切れのあるドリブルを見せて長友とのコンビで左サイドを蹂躙、2点目のシーンでは相手に縦突破を意識させて抜ききらずにクロス、酒井の冷静な折り返しから倉田のヘディングゴールを生み出し、見事な発想と精度だった。

その点で、この試合のダブルボランチ、井手口と山口のコンビは攻撃面で物足りなかった。山口はそこそこパスを散らせていたが、井手口は狭い中を無理に通そうとしてミスになるパスが多く、全体的に視野が狭かった。長谷部の後継者が望まれて久しいが、上記3人はいずれも帯に短し襷に長しで、残念ながら本番までには長谷部の域まで届きそうに無い様子。

攻撃陣では、大迫はシュート精度を除けばさすがの内容と言えたが、武藤と久保は序盤は良かったが途中からマークが厳しくなり、ラインも低くなった影響を受けて後ろに引っ張られ、存在感が消えてしまった。久保はもっとコンディションを上げてもらって、武藤はサイドじゃなくてCFで使ってほしいところ。

次のハイチ戦はもっと親善試合色が強い、ぶっちゃけヌルい試合になりそうなので、もっと思い切ったターンオーバーをやってもらって、今はとにかく多くの選手に経験を積ませてあげてもらいたいね。