「原口のひたむきさこそが、今のバイエルンに欠けている本質」ドイツ・ブンデスリーガ第7節 ヘルタ・ベルリン-バイエルン・ミュンヘン

チャンピオンズリーグPSG戦の惨敗でアンチェロッティが解任され、ウィリー・サニョルが暫定監督として就任したバイエルン。その初戦は、原口がリーグ戦初先発のヘルタとの対戦になった。

バイエルンは、アンチェロッティと対立していたと言われるロッベン、リベリ、レヴァンドフスキ、ミュラー、ボアテングといったベテランが軒並み先発に並んだ4-2-3-1で、ヘルタはカルーの1トップに、2列目が原口、デュダ、レッキーが入った同じく4-2-3-1というマッチアップ。

試合の序盤はバイエルンペース。ヘルタはビルドアップが上手く機能せず、中盤までボールを運んでもそこからのタイミングが合わずに迷った挙句のミスパスが多く、一度原口がドリブル突破する場面はあったが、全体的に攻撃がほとんど組み立てられない。で、10分にセットプレーの流れからのアーリークロスを、ゴール前でフリーになったフンメルスがヘディングを流し込みバイエルンがあっさり先制する。

ヘルタの攻撃は、ここまでチームの中心になっていたレッキーとヴァイザーの右サイドに偏り、原口は対面のSBキミッヒ、そしてロッベンが頻繁にオーバーラップして来る対応に追われ、守備のデュエルで粘って頑張ってはいたがなかなか攻撃に参加できない。そんな中でヘルタは15分にレッキーの突破からダリダが倒され一度はPKの判定を受けるが、相手が先にボールを触ってから倒されたというビデオ判定で覆され、さらに30分にデュダ、32分に原口とようやくシュートチャンスは作ったが得点には至らず前半終了。

後半からヘルタが前に出て来て良いリズムを作り出したと思った矢先の後半4分、トリッソからのミドルパスをレヴァンドフスキが競り合い、ヘルタのシュタルクがバランスを崩してボールを見失ってる間に、レヴァンドフスキがゴールにやすやすと流し込みバイエルンに痛い2点目を与えてしまう。

しかしその直後に、右サイドからのグラウンダーを受けた原口が、カットインしながらPAへ侵入、4人のDFを交わしてGKと1対1になったところで中央に入っていたデュダにパス、デュダは難なくこれを押し込んで原口のスーパーアシストからヘルタが1点を返す。これで息を吹き返したヘルタは、さらに後半10分、ゴール前やや左からのFKからレキクとカルーが抜け出し、レキクのヒザに当たったボールをカルーが蹴り込んでヘルタが一気に同点へと追いつく。

後半15分に、リベリがボールに乗ってしまって足を負傷、交代で入ったコマンは完全に左ウイングに張ってのプレイで、バイエルンは彼にボールを集めてドリブルとクロスでヘルタを攻め立てるが、明らかに本調子でないバイエルンの攻撃には執念が感じられず、守備へと切り替わった時にあっさりヘルタの選手に前を向かれてしまう場面が多く、結局後半15分以降のバイエルンはシュートわずか3本、ラストに放ったレヴァンドフスキのシュートも枠を外れ、試合はそのまま2-2のドローで終了、監督交代もバイエルンにとってはカンフル剤とはならなかった。

原口は後半32分にサイドでスルーパスに反応するも追いつけず、そのすぐ後には交代を要求するジェスチャーらしきものを見せるなど、久々の先発でひたむきに燃え尽きるまで働いた。もっとアシスト場面のように攻撃に絡む回数が増えれば良かったけど、不満の色を浮かべながら怠惰なプレイをしていたバイエルンの選手とは実に対照的な清々しさがあった。チームと契約延長をせずに干され気味だったが、これで色々前向きに考えられる状況に繋がれば良いね。