「プチ・マンUのようなスタイルに変貌したチームにあって、ますまず重要性が増している酒井の存在」フランス・リーグアン第7節 マルセイユ-トゥールーズ

酒井が前半で交代されて完敗してしまったレンヌ戦から立ち直って連勝中のマルセイユと、アウェイではわずか勝ち点1しか挙げられていないトゥールーズとの対戦。

それを裏付けるかのように、立ち上がりはマルセイユが圧倒する。マルセイユは前節から1トップにエンジエ、2列目にオカンポス、パイェ、トヴァンを並べた4-2-3-1に変更。ザンボとルイス・グスタボのダブルボランチはスピードは無いがフィジカルとカバーリング能力が高くサイドのスペースをケアできるので、酒井宏樹はほとんどウイングのような高い位置取りが可能になっていた。

中盤は4-3-3のトゥールーズに対して数的同数のマッチアップだったのだが、トゥールーズの守備があまりコンパクトでなくマーキングが遅れ気味で、2列目の選手が下がってバイタルでボールを受け、そこからサイドへ展開という流れをトゥールーズが止められず、酒井の上がりにトヴァンやパイェが絡んで序盤からスルーパスやクロスを浴びせる猛攻を見せる。

が、前半17分に酒井のクロスをオカンポスがオーバーヘッドしようとして当たり損ねたり、エンジエがライン裏へ抜け出したところを、GKに一瞬早くセーブされたり、相手守備の足が出てボールをカットされるなど、ラストワンプレイの精度に欠けて得点には至らず、前半27分にはCKからロランドがフリーになるもヘディングが枠の外と、セットプレイのチャンスもマルセイユはモノにできない。

ならば力技でとばかりに、33分に右サイドでパスを受けたトヴァンがPA内へドリブルで侵入、相手のマークを受けながらもゴリゴリと突き進むと、こぼれたボールがオカンポスに当たったところを前進してきたトヴァンがそのまま押し込み、マルセイユがようやく先制点をゲットする。

その後はややマルセイユのペースが落ちてトゥールーズも相手陣内でパスを回せるようになり、酒井は守備で奮闘する場面が増え始める。後半からは、何故かパイェが右サイドでトヴァンと絡む事が多くなって酒井が上がるスペースが埋まってしまい、逆に左SBのアマヴィが攻撃で目立つ展開に。そして後半16分、右からのCKがゴール前でスルッと抜け出したオカンポスの腿に当たってそのままゴール、マルセイユが2点目をゲットする。

そこからはさらに酒井は守備的なポジションを取るようになり、ほぼPAの幅より外側に行かず、CBと同じようにラインコントロールしてゴール前での壁として働くように。しかし決してそれだけではなく、後半44分にはカウンターから右サイドを攻め上がり、パスをもらって果敢にPA内へドリブル突破、中で並走していたジェルマンに絶妙なラストパスを送るも、ジェルマンのシュートはトゥールーズGKラフォンの足に当たってアシストならず、試合はそのまま2-0でマルセイユの完勝に終わった。

酒井は相変わらず数少ないアシストチャンスを味方が無駄にする不運はあったが、攻守において高い安定性を見せて勝利に貢献。ガルシア監督の選手起用が、これまで採って来た4-3-3のポゼッション指向から、トヴァンを除けばフィジカルやスピードに長けた10人を並べてパワーで押し切る、プチ・マンUのようなスタイルに変化しているので、酒井の重要性はますます高まるようになるはずだ。