「同じ4バックでも浦和の前半が守備崩壊、後半は立て直せたその理由とは」J1第13節(順延分) 川崎フロンターレ-浦和レッズ

昨日、この試合で浦和がろくに練習もしていない4バックを採用して4-1の惨敗を喫したと聞いた時には、よほどチームが壊れてしまったのかと思ったのだが、実際に試合を見てみると思ったよりは悪くなく、特に後半は遠藤が退場PKを与えるまでは、むしろ浦和が完全にペースを握っていたとさえ言える。

ただ問題は前半だった。前半のフォーメーションは4-3-1-2だったのだが、このフォーメーションを守備で機能させるには、コンフェデのチリを見れば分かるように、中盤の3枚に加えてトップ下か2トップのどちらかが下がって4-4のゾーンを作るのが基本になるのだが、浦和は前線の3人が下がらないどころか、関根と駒井のインサイドハーフがフリーダムに2列目まで上がり切った4-1または2-3のゾーンもどきに過ぎなかった。

川崎の先制点の場面が典型的で、インサイドハーフの関根が広大なサイドを1人でカバーする形になっていて、カットインで軽く振り切られると中央には阿部1人。そこから何のフィルターも無く小林悠に縦パスを通されてしまう。いつも3バックで守っているためゾーン守備に不慣れな遠藤と槙野では、こういう事態に上手く対処しろというのがそもそも無理難題である。前半は2点で何とか終えたが、4点は取られていてもおかしくないぐらい酷い守備だった。

後半から武藤を投入して4-3-3へと変更した事で、武藤と興梠のウイングがサイドをカバーして4-4のゾーンを作れるようになってようやく守備が安定、後半28分には槙野のゴールで1点差に迫ったが、そこまでに少なくとも2回は浦和に決定機があり、それだけに遠藤の退場で試合が壊れてしまった事が悔やまれる。

もともと、浦和の3バックは森脇や槙野が攻撃参加すると、その分はWBが下がってスペースを埋める形だったので、単に4バックにした事が直接の崩壊原因というわけではない。むしろ守備の約束事が無い分、4-4のゾーンを作るしか浦和に守備を安定させる手段は無いとも言える。

つまり本当の問題は、相手の攻撃になった時にサイドや中盤の選手が上がったまま守備に戻れず、ゾーンを作れなくなっている事なので、そこさえきちんと手当出来ればまだ挽回の可能性は残っているように思うのだが・・・前半の守備崩壊の原因となった前線の守備放棄が、ミシャ監督の指示によるものなのかどうかが非常に気になるところだね。