「序盤から勝負に出たリッチー・ポート、まずはフルームがきっちり撃退」ツール・ド・フランス2017 第5ステージ

近年のツール・ド・フランスは、平坦ルートが多くて盛り上がりに欠けがちな序盤ステージに、他国からのスタートや石畳のパヴェなんかを配して目玉にするパターンが多かったのですが、落車が増えて総合争いをする選手が早々に脱落する羽目になったりしたので、今年は素直に山岳ステージを持って来ましたね。

その、ヴォージュ山脈に位置するスキーリゾート、ラ・ブロンシュ・デ・ベルフィーユへの1級山岳頂上ゴールの第5ステージは、人気者のフランス人選手、トマ・ヴォクレールを含む逃げグループの後に、総合争いをする選手が固まるメイン集団が続く展開に。

通常であれば、メイン集団を引っ張るのは総合トップのマイヨ・ジョーヌを着た選手が所属するチームのはずなのですが、何故かこの集団を引っ張ったのはマイヨ・ジョーヌのゲラント・トーマス所属のチームスカイじゃなくて、リッチー・ポートがエースのチームBMC。

ライバルのチームスカイをアシストするようなこの動きですが、解説の人も言ってたように、今回のツールでは各ステージ1~3位にボーナスタイムが設定されているので、ライバルのフルームから既に遅れを取っているリッチー・ポートが、ここでステージ優勝をする事でさらにボーナスタイム分の差を詰めに行こうとしたのでしょう。

そういう意味で、ラストの登りが非常に注目されたのですが、やはりチームスカイのアシストは盤石、クヴィアトコウスキーが逃げ集団を軽く追い抜くと、その後もライバルたちの抜け駆けを許さない強力な引きで牽引、これでは誰も動けないかと思った瞬間、アスタナチームのファビオ・アルが猛然とアタック、みるみるうちに差を広げていきました。

チームスカイもマイヨ・ジョーヌのゲラント・トーマスが自らアシストするもアルには追いつけず、エースのフルームがここでスパート。リッチー・ポートとロマン・バルデ、ダニエル・マーティンはついて行けましたが、ジロ・デ・イタリアの疲れが残っているキンタナとコンタドールは厳しい状況に。

結局、アルの勢いは落ちずに後続から16秒の差をつける見事なステージ優勝。2位にはダニエル・マーティン、フルームはリッチー・ポートと同タイムの3位でゴールイン。キンタナとコンタドールも何とかイーブンペースで盛り返して最小限のダメージで抑える事が出来ました。

これでマイヨ・ジョーヌの座はフルームに移動、総合2位もまだゲラント・トーマスが維持して早くもチームスカイのワンツー状態になりましたが、ファビオ・アルは14秒差に付けるなどライバルたちもまだまだ白旗を上げる状態にはなっていないので、今後も楽しみは続きそうです。

ここから2日間は平坦ステージになりますが、第8ステージはジュラ山脈で終盤に1級山岳登りが待ち構えるコース。アシストの総合力が問われるステージになるでしょう。