「2年連続、8年で5回もジャイアント・キリングを提供した仙台」天皇杯2回戦 

もはや下位カテゴリーのチームがJ1のチームを倒すことが当たり前になって、「ジャイアント・キリング」という言葉すら死語になりつつある天皇杯。今年も、2回戦でFC東京、札幌、甲府、仙台の4チームが敗退してしまった。

その中でもベガルタ仙台は、今回筑波大に負けた事によって、グルージャ盛岡に負けた昨年から2年連続、J1昇格から8年で5回も下位カテゴリーにジャイキリを献上するという太っ腹ぶりには苦笑するしか無い。

さてその筑波大との試合だが、いきなり前半6分に自陣左サイドでボールを持った筑波大の三苫がドリブルを開始すると、ベガルタのDF陣が誰にもアタックへ行かずズルズルと下がってしまい、ボランチのカバーも間に合わずそのまま中央を割られていきなり先制点を許してしまう。

筑波大のフォーメーションは4-4-2だが、4バックはPA内の幅から外に出ず、サイドのケアはSHが下がって5~6バック状態になる最近流行りの守備的な戦術を取っており、ベガルタはスペースがなくて攻めあぐねる反面、筑波大はボールを奪ったらジュビロに内定が決まっている中野誠也を走らせてカウンターでチャンスを量産する。

仙台は前半30分頃からようやく攻撃の形が作れるようになり、31分にベガルタが左サイドでボールをキープしたところにSBの筑波大出身中野嘉大がインナーラップで走り込み、そのままPA内で持ち込み角度のないところからシュートを決めて同点に追いつくと、後半5分には同じく中野嘉大が左からアーリークロスを上げると、これが誰も触れず直接ゴールに入ってベガルタが逆転する。

その後も、ベガルタは筑波大を一方的に攻め立てたが、梁勇基らが決定的なシュートを放つがどれもコースが甘くて追加点を決める事が出来ない。すると毎度おなじみ神様のしっぺ返しで、後半20分にCKからの折り返しをフリーになっていた中野誠也に押し込まれると、28分にはパスミスから三苫にドッピエッタを食らってあっさり再逆転。筑波大は最後のパワープレイもしっかり守り切って勝利、3回戦へと駒を進めた。

ベガルタのほうが、選手個々の能力では高いのかもしれないが、戦術の完成度、運動量、集中力では筑波大が上回っており、内容的には到底ジャイアント・キリングとは言えない順当負けであった、チャンチャン。