「”決勝マイスター”モウリーニョの完璧過ぎるゲームプラン」UEFAヨーロッパリーグ決勝 アヤックス-マンチェスター・ユナイテッド

ボールポゼッションが69%対31%、シュート数が17対7と聞けば、10人中9人は左側のチームが勝ったと思うだろう。しかし結果は右のマンチェスター・ユナイテッドが2-0で左のアヤックスに完勝してしまったのだ。

しかしそれは、欧州戦の決勝で100%の勝率を誇る「決勝マイスター」モウリーニョにとっては完全に予測されたゲームプランであり、アヤックスは終わってみれば自分たちはモウリーニョの手のひらで転がされてしまったのだと思い知らされた事だろう。

アヤックスのフォーメーションは伝統の4-3-3で、マンUは1トップがラシュフォード、2列目がムヒタリアン、フェライニ、マタと並べた4-2-3-1というマッチアップ。

前半のマンUの守備はほぼマンマーク。1トップのドルベアはCBが挟み、ウイングのユネスとトラオレはSBが付き、インサイドハーフにはポグバとエレーラがそれぞれマークし、アヤックスのビルドアップを封じ込める。そしてボールを奪うと、ラシュフォードがDF裏のスペースへ走るか、フェライニがロングボールを受け、高い位置でマタがチャンスメイクするシステム。

アヤックスは中からの攻撃が全く機能せず、仕方なくサイドに展開してドリブルからマークを剥がして打開しようとするのだが、中をしっかり固められているのでシュートはコースが限定され、マンUのGKロメロにとっては冷や汗をかくほどでもない。

逆に回数こそ少ないが、マンUはカウンターになると高い個人能力でゴール前まで持って行き、攻められてはいるがペースは明らかにマンUのもの。すると18分に相手のスローインをマンUが拾いマタがニアゾーンに入ってマイナスに折り返すと、センターでボールを受けたポグバが切れ込んでからシュート、これが相手の足に当たってゴールに吸い込まれ、マンUがきっちり先制点をゲットする。

ここからアヤックスはサイドの個人突破に活路を見出すようになり、マンUはゴール前まで攻め込まれる場面が増えるのだが、ここでモウリーニョは守備の方針を転換してマンマークからゾーンベースへと変更、相手に抜かれても後ろがカバーする体制を作り上げる。

そして後半5分に、CKからゴール前にこぼれたボールを、ムヒタリアンがオーバーヘッド気味に合わせたシュートがアヤックスのゴール上に刺さってマンUが理想的な時間帯に追加点。この試合のマンUにとっては2点は完全な安全圏だった。

アヤックスは後半41分に、ファン・デ・ベークがニアゾーンに飛び込みカットインからシュートするもGK正面、ロスタイムにはカウンターからユネスがボールを浮かせてGKを交わそうとしたがボールが流れてクリアされ、最後までチャンスをものに出来ず2-0で試合終了。

これでマンUはクラブ史上初となるUEFAカップを獲得すると同時に、こっちの方が本命の目的だったチャンピオンズリーグの椅子もゲット。これがあると無いとでは、今夏の補強契約が根底から覆され、モウリーニョの去就にも影響が出る可能性があったのだから、さぞかしクラブ経営陣はホッとした事だろう。

しかしマンUは交代選手がリンガード、マルシャル、主将のルーニーはロスタイムに守備固めと時間稼ぎで出てくるとは卑怯にも程があるね(笑)。こんな豪華な陣容で欧州戦に出れなかったらと思うと世界のサッカー的にも損失なので、勝って良かったねというところなんだろうか。