「代償を払いながらも着実に成長の跡を見せた日本、しかし期待の堂安は乗り遅れる」U-20ワールドカップ グループD 日本-ウルグアイ

南米王者のウルグアイに対して、戦前の予想以上に日本は良く戦ったし、久保のシュートから堂安のヘディングという決定機を作り、終盤にはウルグアイを自陣に張り付かせるぐらいに押し込んだ。しかし結果は0-2の敗戦。日本はウルグアイの試合巧者ぶりに、手のひらで転がされてしまったとも言える。

序盤は日本がSBが高い位置を取ってボールを回して中のボランチと、これまでに無かったビルドアップでリズムを作ったのだが、ウルグアイは徐々に日本のDFに対してプレッシャーをかけるようになり、日本のミスを誘い始めた。そこでエース小川が膝を痛めて退場してしまう。

小川と交代して久保が入ったのだが、ウルグアイの狡猾なところは、日本がプレスをかけられてバタバタしていて失点しそうだったのに、そこから前に行かず自陣でゾーンを引いて待ち構える守備に切り替えた事で、小川という前線のターゲットを失った日本は足元へのパスが多くなり、久保は相手のフィジカルに負けて打開できず、日本はなかなか前にボールを運べない。

それでもウルグアイも前には出て来ないので、展開的にお見合い状態になって一瞬日本が気をゆるめた隙に、SBから一発のロングパスでサイドの裏を取り、スキアッパカッセがスライディングを冷静に交わしてウルグアイに先制点を決められてしまう。

後半も日本は高いラインとプレスバックで引かずに守り、選手も相手の堅いゾーンに対してトラップの工夫や動き出しで攻め込む工夫を見せるようになり、ウルグアイにも疲れが見えてミスが増えて行くのだが、ウルグアイも最後の部分は自由にさせず、試合終了間際にカウンターから相手のSBにやられて2点目。これで残念ながら勝負あり。

前半16分で岩崎と久保の2トップにして地上戦オンリーの戦いにしてしまい、2枚目のカードが背の低い坂井と、監督の采配がもうちょっとまともならと思ってしまうのだが、そんな足かせの中でも選手は着実に成長をしているのは敗戦の中でも一筋の光明である。

ただ三好や久保が狭いスペースで相手のフィジカルとリーチに苦しみながらも、何とかボールを運ぶ工夫を見せていたのに対し、堂安は縦を切られるとカットインからの切れ込みドリブル一辺倒で判断も遅く、結果的に攻撃を遅らせるだけのプレイになっていたのは残念だった。ここで一皮剥けないと、先輩宇佐美と同様に「使いにくい」選手になってしまう可能性が高い。次のイタリア戦での奮起に期待したい。