「おしどり夫婦のケルンと、仮面夫婦のマインツという大きな差」ドイツ・ブンデスリーガ第34節 ケルン-マインツ

33節終了時点では7位に位置し、ヨーロッパリーグ出場権獲得に向けて絶対に勝ち点3が必要なケルンは、ホームでの最終節で既に残留を決定的にしているマインツと対戦。

ケルンのフォーメーションは、モデストと大迫が2トップに並んだベストの4-4-1-1、マインツは武藤がベンチスタートで、1トップにコルドバ、トップ下にボージャン・クルキッチが入った4-2-3-1というほぼマッチアップという形。

試合は意外にもアウェイのマインツが攻勢に出て、サイドに厚みを加えた展開からボージャンが左右に飛び出してボールを受け、コルドバにラストパスを送る攻撃などでポゼッションを優位に進めるが、ケルンも大迫がバイタルエリアで足元にトラップ、捌いて繋げるカウンターで対抗する。

前半13分にはヨイッチに決定的なパスを送るもシュートは枠の外、36分には大迫がドリブルから切り替えしてシュートを放つがこれも枠外と、ケルンはなかなかチャンスを得点に繋げられなかったが、前半43分にスローインを大迫が頭で反らしたボールにヘクターが飛び出し、コースは甘かったがマインツGKフートの手をすり抜けてゴールが決まり、ケルンが大きな先制点をゲットする。

序盤は目立っていたボージャンとコルドバが埋没して勢いが落ちたマインツは、後半17分に武藤を投入、ボージャンがSHに下がった4-4-2へとシフトする。武藤は相変わらず幅広く動き回って味方のパスを引き出そうとし、ボージャンとは感じ合うプレイもあったのだが、相変わらずコルドバとは関係性が薄く、結局マインツの後半シュートはわずか1本と戦況を覆すに至らず。

逆にケルンは後半42分、右サイドをヨイッチがドリブルで突破すると前線に走り込んだ大迫へスルーパスがピタリと渡り、大迫は左へ持ち込んでから狙いすましたシュートをファーに決め、試合の勝負を決める2点目をゲット。上位のヘルタとフライブルクがリードを許している事を知っている観客は大喜び。

そして試合は2-0で終了、原口が不出場のヘルタはレヴァークーゼンに2-6と大敗、フライブルクはバイエルンが手抜きなく1-4で粉砕したため、ケルンは大逆転で5位に浮上、25年ぶりにヨーロッパリーグのストレートインを決め、試合直後にはピッチに観客がなだれ込み、町中ではサポーターが大騒ぎする歓喜の結末となった。

正直なところ、ボランチから後ろのクォリティはケルンもマインツも大差ないレベルではあるのだが、一方はヨーロッパリーグ、一方はギリギリ残留という結果になった理由は、ひとえに前線のクォリティの差に尽きるだろう。それも単なる個人能力だけではなく、マインツが最後までコルドバとボージャン、武藤の間でのすれ違いが埋まらず、有効なコンビネーションが作れなかったのに対し、ケルンはモデストと大迫の間が相思相愛と呼べるレベルでお互いが見合っている。

結果だけを見れば、25ゴール2アシストのモデストに対し、7ゴール6アシストの大迫が尽くしている形だが、実はシュートに比べると絶望的に下手なだけでモデストも大迫にはかなりパスを出してくれている(笑)。まあ、大迫の動き出しの問題もあるのでモデストを責めるのは酷ではあるのだが、ここが改善されるとヨーロッパリーグでも十分戦えるのではないだろうか。

ただ、リーグ得点3位になったモデストは各国のビッグクラブから狙われているだろうし、ケルンはモデストが去った後釜に、何とマインツのコルドバを狙っているという話もあるので、さてケルンの”おしどり夫婦”関係が来期はどうなってしまうのか目を離せないところだ。