「決勝ゴールを決める活躍をした乾が、代表に呼ばれないのには理由がある」スペイン・リーガエスパニョーラ 第29節 ビジャレアル-エイバル

突然発表された、DAZNのリーガ・エスパニョーラ放映権獲得。これでようやくWOWOWの独占放送縛りから解放されたという事で、早速エイバルとビジャレアルの試合を見てみた。

今までリーガのチームと言えば、チャンピオンズリーグに出て来るバルサやレアル、アトレティコのような強豪の試合しか見てなかったわけだが、中位対戦となるビジャレアルとエイバルの試合を見てみると、その守備の緩さにちょっと驚いてしまった。

スペインと言えば、世界でもゾーン・ディフェンスが発達した国であり、それゆえに戦術的に疎い日本人選手にとってはハードルが高いリーグになっているわけだが、最近の戦術的なトレンドである「ニアゾーン攻略」、つまりSBが外に出た時のCBとの間に出来るスペースについて、あまり戦術的なケアが出来ておらず、その対策として5バック化が進んでいるドイツやイングランドに戦術レベルで置いて行かれている感がある。

しかもスペインのDFはギリギリまでマンマークに移行せずラインを保とうとするので、4バックの間を抜かれるとあっという間にシュートまで持って行かれてしまう。この試合でエイバルが決めた2点目は、まさにDFの間に飛び込まれて決まったもので、ビジャレアルの選手は全くマークが出来ていなかった。これがイタリアだったらマスコミから袋叩きにされる対応である。

それにたまたまかもしれないが、1点をリードされたエイバルが後半1分にPKを獲得したのだが、このシーンを見るとキケがアルバロの足を自ら踏んでコケたように見えるし、その直後にエイバルのルジューヌがクロスに思いっきり手を出して当てていたのだが、主審はこれを完全スルー。ホームならともかくアウェイチームにここまで有利な判定になってしまうのは、単に審判のレベルの問題じゃないだろうか。

乾も、後半33分に相手のバックパスを中央でカット、そのままドリブルで持ち込んでファーサイドギリギリに決めるゴラッソを叩き込んだのだが、試合全体を見るとボールタッチ数は少なかったし、あまり高い位置でプレイが出来ていなかった。守備ではカパの怪我で急遽投入されたルーナを良くカバーして戻っていたが、対人守備という点では突っ込み過ぎて抜かれたり、足先だけでアタックしようとしたりと、1対1のスキル的には厳しい感じだった。

スペインでレギュラー出場している乾を、ハリルホジッチが頑なに代表へ呼ばない事が疑問視されているが、1対1においては香川レベルの守備力では、現在は原口が担っている左SHの仕事はさせられないと考えるのは仕方ない面があると思った。右には久保や本田がいるし、単なるジョーカーとして使うなら、若い選手やもっと決定力のある選手のほうがいいだろうし。

とまあ、スペインリーグにも乾にも厳しい事を書いてしまったが、これも久々にリーガを見るという事で自分の中で期待値が上がりすぎた反動かもしれない(笑)。やっぱり乾を選ばないハリルホジッチの目は節穴だと訂正したくなるような活躍を、これからの終盤戦で是非見せて欲しいね。