「シルキータッチで時間を操る香川、マスクマンに足を引っ張られる」ドイツ・ブンデスリーガ第26節 シャルケ-ボルシア・ドルトムント

トゥヘル監督が試合前の会見で語っていたように、アジア予選の移動から魔がないのに珍しく香川は好調だったようで、この試合でスタメン出場。代表ウィークにチャリティマッチへ出場していた内田はベンチ外で、スタンドにいるところをカメラで抜かれていた。

ドルトムントのフォーメーションは1トップがオーバメヤン、2列目にデンベレと香川が並ぶ3-4-2-1ではあったが、守備時にはボールサイドのWBがDFラインに入って4バックになる変則的な形で、デンベレがウイング的にサイドに張り、香川は実質的にトップ下の位置でプレイしていた。対するシャルケは4-2-3-1で、守備時には4-4-2になってカチッとコンパクトに守る形。

前半はダービーマッチらしく、両者とも高い位置からプレスを掛け合って局面で非常に激しいマッチアップが続き、香川とオーバメヤンはなかなか前線でボールをもらえずドルトムントは30分になるまでシュートを1本も打てなかったが、34分に香川からオーバメヤンがDFラインの裏へ抜け出し、シュートに威力が無くてセーブされたがようやくドルトムントが決定的な形を作る。

後半になると、中盤に少しスペースが生まれ始め、DFのバルトラから香川へ縦パスが入るようになり、香川も調子は悪くないようで厳しいパスをミス無くトラップし、試合は徐々にドルトムントのペースになって行く。すると後半8分、ドルトムントが真ん中からスルスルとパスを繋ぎ、デンベレのスルーパスに香川がオフサイドで抜け出すと、そのままシュートを打てたはずだが並走したオーバメヤンにコロコロと転がす優しいアシストで、ドルトムントがとうとう先制点をゲットする。

得点後に、オーバメヤンがポケットから謎のマスクを出してかぶるパフォーマンスを披露してイエローカードをもらってしまったが、正直言ってシャルケの敵地でこの挑発はやるべきじゃなかったね・・・

その後も香川の活躍は続き、香川のスルーパスからオーバメヤンが抜け出したシーンでは、香川の真似をしようとしたのかオーバメヤンが並走のデンベレにパスを出したものの、相手にあっさり引っかかって追加点ならず。29分にも、香川のスルーパスから左のデンベレが抜け出したが、シュートはゴールポストに当たってこれも得点ならず。

逆に後半32分、シャルケはセットプレイからのこぼれ球をゴレツカが繋ぎ、走り込んだケーラーが豪快に蹴り込んでシャルケが同点に追いついてしまう。この後は同点で勢いに乗るシャルケの運動量がドルトムントを上回り始め、ドルトムントが中盤でボールを失って守備がズルズル下がる場面が目立ち始める。

ドルトムントはモルやプリシッチを投入して何とか打開を図ろうとするが、シャルケの勢いは抑えられずにその後はシュートを1本も打てず、終盤には明らかなハンドを犯したがPKは取ってもらえないラッキーもあって、何とか失点せずに試合終了。実に90回目となるレヴィア・ダービーは、まさに互いが意地を張り合う1-1のドローとなった。

香川は確かに好調で、アシストの場面が象徴的だったが、シルキーなタッチから時間を操って味方にピタリと通すパスを連発して1人でチャンスを作り出していたのに、デンベレやオーバメヤンは局面だけを考えるプレイで、個人能力で打ち勝つ場合もあるのだが、逆にボールを失う場面も多く、打開してもそこからのプレイで判断ミスをしたりで、点が線に繋がっていない。内容的には勝てた試合だっただけに残念である。

特にオーバメヤンはマスクマン・パフォーマンスの後から明らかに相手の目の色が変わってしまったので、本当に余計なことをしてくれたなという感じ。しかも直後の香川からのプレゼントパスも台無しにするし、正座させて反省文を書かせたいぐらいだ(笑)。