「”ほぼ富士山頂で試合”、世界最悪のアウェイに沈んだアルゼンチン」ロシアW杯南米予選 第14節 ボリビア-アルゼンチン

現在はW杯予選でブービーの順位と、南米の中では最弱のグループに甘んじているボリビア。しかしことホームでの試合についてはボリビアが異常に強く、南米を代表する強豪国であるアルゼンチンは、実に12年間も勝ち星を挙げられていない。

その最大の理由が、ボリビアの首都ラパスにあるホームスタジアム「エスタディオ・エルナンド・シレス」。何と標高が3600mという、ほぼ富士山頂と同じ高さにあるスタジアムで、そこに居るだけでも高山病にかかるぐらいの場所なのに、そこでサッカーをするとはまさに地獄以外の何物でもない。

前節のチリ戦に辛勝したものの順位は4位と出場権ギリギリのアルゼンチンは、暴言によりメッシの欠場が試合の6時間前に決まり、他にはイグアインやマスチェラーノという主力も居ないというスクランブルで、サブメンバーの奮起が期待されたがやはりボリビアはそんな生易しいものでは無かった。

アルゼンチンは試合開始15分にして選手が肩で息をしている有様で、SBのオーバーラップはおろか、DFラインは全く上げられないままでボリビアがボールを支配。さらに空気が薄くて抵抗が少ないせいか、ボールが氷の上を滑るように恐ろしく伸びるため、アルゼンチンの選手がことごとく目測を誤ってボリビアにボールが渡ってしまう。

前半31分の先制点も、何でもない遠目からのアーリークロスがストレートボールのように伸びてアルセの頭に触ってゴールに飛び込んだもので、マークに付いていた選手もジャンプで競り合うタイミングが合わず、アルゼンチンのGKロメロも全く為す術が無かった。

その後に、アルゼンチンはディ・マリアを中心にカウンターから何度か惜しいチャンスは作ったがシュートが決まらず得点には至らず、逆に後半7分に、ボリビアは左サイドをドリブルで突破した折り返しを、ファーでフリーになっていたモレノがワントラップから落ち着いて決め、ボリビアが2点目をゲット。この場面でも、モレノをマークするはずのアルゼンチンSBは走れず戻れていなかった。

その後はアルゼンチンも、1度ほどクロスからチャンスは作ったがとても逆転出来るような勢いはチームになく、そのまま2-0で試合終了。これでアルゼンチンはプレーオフ行きになる5位に後退。さらにはメッシがあと3試合出場停止という事になり、ますますW杯の出場権を失う悪夢が現実のものになりつつある。果たして彼らはこの苦境をどう打開するのか、アルゼンチンの協会は機能不全に陥っているだけに、手遅れにならないといいのだが・・・