「内容と結果が一致しないのは、ある意味サッカー強国の証でもある」ロシアW杯アジア最終予選 グループB 日本-タイ

昨日は古い友人達との滅多にない飲み会があり、酔っ払って11時以降に帰ってから半分寝た状態で試合を見ていたので、雑感のみでご勘弁を。

しかし4-0という大勝をした試合で、ここまで内容をボロカスに言われるのも本当に珍しいよね(笑)。実際、前半19分に岡崎がヘディングで2点目を決めてからは、日本は試合を落ち着かせたいのか、それとも攻め続けたいのかチームの意思統一が不完全で、試合のマネージメントに失敗したことは確かだろう。

最も大きな理由は、失うものが無くなったタイが意外にも4-4-2で前からプレスをかける攻撃的なサッカーをして来た事で、日本は守備陣が落ち着いてボールを持てず、ラインを上げる余裕が無くなって中盤が間延びしてしまった。そのスペースに、テクニックやスピードで高い能力を持ったタイの選手がどんどん入り込み、日本の守備が後手に回ってしまった。

中盤が間延びした原因は、日本のボランチの人選にもあった。ボランチとしてスタメン初起用された酒井高徳は、クラブでは全くビルドアップに参加せず、ポジションのバランスを取りつつ守備のカバーに回る役割がメインなので、CBからパスをもらう動きが皆無。山口も、UAE戦ではその仕事を香川におまかせ状態だったので、ボランチが攻撃で機能不全を起こしていた。なのに、森重らCB陣が間延びして遠い前線へ無理な縦パスを入れようとしていたので、結果的にミスが増えてしまった。

ただフォーメーションを4-2-3-1にして香川をトップ下にした事で、インサイドハーフとしては微妙だけどトップ下としては優秀な香川の守備が良く効いて、試合の流れを大いに助ける先制点も決めたのだから悪いことばかりでも無かったわけだが・・・

そして日本のフィジカルコンディションが、時差と気候差のせいか思った以上に悪かった事。原口は明らかに疲労が蓄積していてプレイの精度がガタ落ちしていたし、酒井宏樹はいつも以上にミスが多く、終盤にPKを与えてしまった長友も体のキレは落ちていた。しかも日本は攻め急ぎな割にミスが多くてまた戻るという繰り返しをしていたので、前半の終わり頃からサイドが押し上げられなくなってさらに苦しむ羽目になってしまった。その時間帯に失点して2-1にされてたら試合の行方はもっと難しいものになったはずだ。

とは言え、空気を読むことを知らないドイツを除けば(笑)どんな強豪チームであっても、疲れが溜まった状態で前半の早いうちに2点を取ってしまったら、心も体も緩みが出てしまうのは避けられないものであり、ことさら声高に批判を言い募るべきではない。必死で押して押して、たくさんチャンスを作っても決められず、逆にワンチャンスをきっちりモノにされて気がつけば負けている、というのは日本が強豪国と対戦した時によくあるパターンで、タイにとっては日本もそういう存在になったのだと逆に喜ぶべきなのかもしれない(笑)。

グループBの他の試合では、残念ながらオーストラリアもサウジも勝利して完全な3強体制になってしまったので、気の緩みが許されるのはこの試合が最初で最後である。まずは内容をきっちり反省した上で、6月のイラク戦に向けて怪我人は回復、他の選手はコンディションの維持にまずは専念してもらいたい。