「岡崎は常に120%と思われがちだが、実はずる賢くアクセルを緩めている」イングランド・プレミアリーグ第29節 ウェストハム-レスター・シティ

ラニエリ監督が解任されるまでは公式戦5連敗、そこからシェイクスピア監督が就任して昨シーズンの戦い方に戻してからは初戦のリバプール戦から3連勝と、分かり易すぎる「原点回帰」効果を発揮中のレスター・シティ。今節ももちろんウイニングチーム・ネバーチェンジで岡崎が先発。

チャンピオンズリーグの激闘から中3日で、今期は極めて苦手にしているアウェイ戦とあってさすがにレスターも厳しいかと思われたのだが、試合開始5分にマフレズのクロスに対してニアにヴァーディ、ファーに岡崎が飛び込んで誰も触れなかったが、その飛び込みがデコイとなったのかウェストハムGKランドルフがつられてそのままゴールイン、あっけなくレスターが先制に成功する。

その2分後にも、岡崎が頭の上でボールを運ぶアシカプレイでファールをもらうと、ヒールで再開したFKからマフレズが中へ流し、オルブライトンがダイレクトでアウトにかけた浮き球のロブを上げると、これにウェストハムの選手が誰も反応できず、フリーになったフートがヘディングで押し込んで効率よく2点目。

さらに前半18分にはウェストハムCBリードが怪我で退場してしまい、ますますレスターに風が吹くかと思われたのだが、このピンチが文字通りの怪我の功名となったのか、かえってウェストハムの選手が目覚めてしまい、それまで好守にバラバラだった動きに一体感が生まれ始め、徐々にウェストハムへ試合の流れが傾いていく。そして20分にランシニが直接FKを決めてウェストハムが1点差に戻す。

これで一気にウェストハムが勢いに乗ってしまったが、その流れを押しとどめたのはやはり岡崎、絶え間ないプレッシングでDFラインに圧力をかけつつ、中盤のプレスにも参加してウェストハムの攻撃に余裕を与えない。すると前半39分に、右のCKで岡崎がニアに飛び込むと、ストーン役のキャロルが目測を誤ってボールをすかせてしまい、混戦からヴァーディが押し込んで劣勢のレスターが再び点差を広げる。

ただしレスターの反発力も前半だけで限界だった。後半になると試合は完全にウェストハムペースになってしまい、岡崎も頑張って相手を追い回すも全体が下がってしまい、せっかくボールを跳ね返しても次々にセカンドボールを拾われ、アントニオやアユーがドリブルで中から切れ込み、深い位置からキャロルにクロスと、危険な連続攻撃を食らってしまう。

後半16分にコースへ飛んだ直接FKはレスターGKシュマイケルが弾き出すが、17分にCKからキャロルにフリーで折り返されアユーに押し込まれてとうとう1点差。そこから後半30分まで何とか耐え忍び、岡崎とヴァーディを下げてレスターは何とか逃げ切り体制に持ち込もうとする。が、本当の地獄はここからだった。

31分に左からのクロスをキャロルがフリーでヘッド、これをシュマイケルがラインギリギリで掻き出すと、33分にはドリブルからアユーが完全にフリーで抜け出すもシュートは宇宙開発で命拾い。さらに37分の右CKからキャロルが落とし、混戦からのシュートを何とか体で防ぐと、ロスタイムにはFKが壁に当たったこぼれ球をキャロルがシュート、シュマイケルは至近距離で手に当てるスーパーセーブ。6分のロスタイムも何とか防ぎきり、レスターがサンドバッグになりながらも公式戦4連勝を飾った。

岡崎については、守備では相変わらず良く走り回っていたが、攻撃ではいつもの粘りは見せず、単純にボールをはたいたり後ろに返したり、デュエルでも倒れてファールをもらいに行く事が多く、あまり攻撃では全力を出していない様子だった。おそらくCLの疲れもあったので、ここで下手に無理をすれば怪我に繋がるという予感があったのかもしれない。いつも120%で走り回っているイメージがある岡崎だが、こういう良い意味でのずる賢さがあるからこそ、世界一体力的に厳しいリーグでも第一線でやって行けるのだろうね。