「ダルダイ監督の厳しい叱責の裏に垣間見える、原口への隠しきれない愛情?」ドイツ・ブンデスリーガ第25節 ケルン-ヘルタ・ベルリン

大迫が強烈な無回転ミドルとアシストを決め、キッカー誌とビルト紙からベストイレブンに選出された事が話題になった試合だったが、その裏で原口が3失点(?)に絡んでダルダイ監督から厳しい叱責を受けたという事のほうが、個人的にはちょっと気になっていた。

確かに、前半37分には原口が無理なドリブルで突っ込んだところでボールを奪われ、オフサイド気味に飛び出したモデストにロングパスを通されて失点、後半18分には中央での横パスをカットされ、またもモデストに抜け出されて4失点目を喫するなど、確実に2失点の直接的な原因にはなっていたのだが、おそらく原口の本当の問題はそれらの失点以前のポジショニングにあったのではないかと思っている。

原口はいつも通り4-2-3-1の右ウイングとして先発していたのだが、明らかにトップ下の位置まで中に入ったままプレイしており、原口がいるはずのスペースには右SBのペカリークが上がってプレイしていたのだが、当然そのサイドには大きなスペースが生まれ、前半4分には大迫が縦パスからのターンでシュートまで行くチャンスを作り、6分の大迫の先制点ミドルも大迫のサイドでのマークが甘くなってあっさり突破を許してしまった。

前半の30分にカルーが負傷し、原口が左ウイングに移ってヴァイザーが右のポジションに入ったが、そこからの原口は基本的にサイドに張った状態でプレイし、チームのポジションバランスは明らかに向上した。ただ、ダルダイ監督も語っているように、カルーが抜けて本来のポジションになった事で原口が入れ込んでしまったのか、失点を生む無謀なドリブルに繋がった面はあったのだろう。

さらに後半になると、原口は単にサイドで張るだけじゃなくて、ボールの状況を見てインサイドハーフの位置に入ったり、サイドに流れてボールを受けたりと、より柔軟なプレイスタイルへと変貌していた。もっとも、これもやはり裏目に出てインサイドハーフのポジションでパスミスをやらかしてしまったわけだが、ダルダイ監督はミスを叱りながらもちゃんと原口のプレイに修正の指示を与えている事が良く分かる。

それだけ、ダルダイ監督は原口に対しての信頼や愛情があるのだと思うが、「仏の顔も三度まで」という諺通り、今回のやらかしをきっちり反省して次に活かさないと、今度こそ干されてしまう事になりかねない。まあそれよりも先に代表でこの失態を挽回してもらわないと困るわけだが。

大迫については、得点とアシストで2点に絡んでからは、ケルンが引き気味で試合をした事もあってFWよりもトップ下の位置で繋ぎ役としてプレイ、終盤にはいつも通り抑え役として(笑)右SHに移ってしっかり試合を締めた。まだパワー不足を感じるところはあるが、ボールを収めるポストプレイの能力については、もうブンデスで何の苦労もしないレベルにはなっている。代表ではより厳しくマークを受ける役割になるが、必ず大きな力になってくれるのではないだろうか。