「HSV”いてまえ打線”を先頭で引っ張る、キャプテン酒井高徳」ドイツ・ブンデスリーガ第24節 ハンブルガーSV-ボルシアMG

バイエルン・ミュンヘンに0-8と歴史的な大敗を喫してしまったが、そこまで完膚なきまでに叩きのめされるとかえって気持ちが切り替わるのか、次のリーグ戦は上位のヘルタに1-0で勝利したHSV。

その試合で酒井高徳が先発から外れ、監督のコメントでは「疲れがあった」という事だったが、このままサブに回るのかと心配したものの、何とかこの試合ではボランチとして先発に復帰した。

試合の序盤はややアウェイのボルシアMGが押し込む流れになったが、ヨーロッパリーグから中2日の試合とあってかすぐに勢いは落ち着き、4-4-2で低めの位置にコンパクトなゾーンを組んで守るボルシアMGに対し、HSVが高い位置からプレスをかけるサッカーを展開する。が、HSVのハイプレスもそれほど全体統一がされた様子ではなく、個人個人がガンガン行っている感じで、せっかく高い位置でボールを奪っても肝心なところでパスミスが目立ち、勢いの割に決定的なチャンスは作れない。

そんな中、前半の9分にセットプレイからパパドプーロスが完全なフリーになったのにボールを足に当てそこねてゴールを外れ、18分にはゴールマウスは揺らしたもののオフサイドと、HSVの逆フラグが立ってるなと思ったら案の定、前半22分に酒井のミスからカウンターを喰らい、パパドプーロスが手を使ってイエロー覚悟で止めはしたものの、FKをクリステンセンに合わせられてボルシアMGに先制点を奪われてしまう。

さらに29分には、完全に右サイドをダフードに崩されて真ん中でフリーだったドゥルミッチが合わせるが、HSVのGKアドラーが横っ飛びで足に当てるスーパーセーブを見せてチームを救う。すると逆に、前半36分にHAVは右サイドのディークマイヤーから1本のクロスをコスティッチがピンポイントで合わせ、ボルシアMGのGKゾマーがかろうじて手に当てるものの、ボールはゴールポストに当たってゴールイン。これでHSVは何とか流れを引き戻す。

後半も最初は少しボルシアMGがボールを保持する展開だったが、すぐにHSVがペースを握り返してその後はほぼ一方的にセカンドボールを拾い続け、疲れが見えるボルシアMGを攻め立てる。が、前半30分までにほぼPAの中から7本のシュートを放つものの、ゴール前に人を固めるボルシアMGの守備をなかなか崩せない。

普通ならば、こういう猛攻を続けてずっと点が取れないと攻め疲れてどこからペースが落ちてしまうのだが、この試合のHSVはずっとガンガンプレスをかけまくっていた。その先頭に立っていたのが酒井高徳で、前半こそバランスを取るような動きが主だったのだが、後半になるとピッチのあらゆる場所に顔を出してプレスをかけまくり、まさに「いてまえ打線」を先頭で引っ張っていた。

すると後半35分、相手の自陣からのパスを右サイドで酒井高徳が鋭い出足でカット、その勢いのままクロスを上げると、ゴール前で競ったウッドは潰されたが、ファーに流れたボールをコスティッチが拾い、折り返しはヤンチュケに当たったものの、たまたま起き上がったところのウッドの前にボールがちょうど転がり、ウッドがスライディングを落ち着いて交わして決勝ゴール。

その後はボルシアMGがパワープレイを仕掛けて来るも、酒井を筆頭にHSVの選手は最後までプレスの勢いを落とさずセカンドボールを愚直に拾い、後半はシュート数10対1とほぼボルシアMGを完璧に封じ込んで勝利。順位はまだ16位とプレーオフ圏内だが、ブレーメンとヴォルフスブルクと勝ち点で並ぶ位置をキープしている。これからフランクフルト、ケルン、ドルトムントと日本人選手所属のチームとの試合が続くので、いろいろ楽しみだね。