「急速に”男子化”している女子ランク、日本は土台を確認できたのか」アルガルベ・カップ2017 グループB 日本-ノルウェー

月曜からすったもんだしていた新サーバーへの移転作業。結局同じ契約ランクの中では重い状態は変わりそうにないので、思い切って1つ上のサーバー契約に変更。これでまだ重かったらもはや諦めるしか無い崖っぷち・・・

そんなまだバタバタしている状態ではあるものの、昨日は何とかアルガルベ・カップのノルウェー戦を観戦。

ここ2年の間に、今まではアメリカやドイツ、日本と限られた国が上位を独占していた女子サッカーの裾野が急激に広まり、スペイン、イングランド、フランスといった男子におけるサッカー強国が女子でも実力を付け始め、今や日本はFIFAランキングで7位。アルガルベ・カップのテロップで「世界一奪還」みたいな勇ましい事を書いているが、実際はセカンドグループを争う位置にいるというのが妥当な味方だろう。

その要因としては、まず女子サッカー全体の戦術レベルが向上している事。日本はこの点でかつてはアドバンテージがあったが、今どこもコンパクトなゾーン・ディフェンスを敷く事が当たり前で、パワー不足で強いミドルが打てず、クロスに合わせる高さも不足している日本にとっては、得意の細かいパスワークだけで相手を崩す事は困難になりつつある。

もう1つは、女子の選手は皆あまりシミュレーションで倒れたりしないせいもあるのか、男子に比べてもフィジカルコンタクトの判定に甘い印象がある。スペインやフランスなどガツガツ来るチームに対して、フィジカルで負ける日本は無理をする事によって怪我の危険も多くなるし、特に若い選手のメンタルが萎縮する傾向がある。

そういう状況から日本がどういうプランで立て直していくのかに注目して試合を見てみたのだが、1つ良かった事はボールを前から取ろうという意識が統一されていた点。近年は女子でもサイドチェンジを上手く使うチームが増え、ボールサイドに寄ってプレスをかける日本は、ファーサイドの高い位置で基点を作られるとズルズル下がらざるを得ず、そこでボールを取っても前線と距離が遠くて攻撃の人数がかけられないジレンマに陥っていた。

しかしノルウェー戦の日本は4-4-2の3ラインがあまり下がらず、ラインの後ろに余ってカバーでは無くラインの前に出て取る意識が共有されていた。ラインが高くなる分、一発のロングパスで飛び出されるシーンもあったが、そこはマイナスと捉えずパスの出し手へのプレッシャーが足りなかったと考えるべきだろう。

攻撃についてはまだ改善の余地は多い。特に相手が押している時間帯は、ボールを奪っても前線で基点が作れず、サイドも低い位置からスタートするのでパスコースが少なく、カウンターを仕掛ける事が出来ていない。ファーサイドでSHが高い位置を取り、そこにサイドチェンジを通すなど守備から攻撃への基点を作る形を整える必要がある。

結果的に日本は2-0で勝利したが、ノルウェーの決定力不足に助けられて前半は無失点で切り抜け、後半14分に先制点を奪った後に相手が疲れるまで耐えて最後に反撃と、日本がやりやすい試合の流れになった事が大きい。先発が変わっても明らかなチームの穴は見えず、選手レベルの底上げは感じられたが、かつての澤や宮間のような精神的支柱、1人で試合を変えられるような大黒柱は育っていない。

これで日本は5位決定戦でオランダと対戦。相手のランクは下だが、スウェーデンには勝ち、オーストラリアとは1点差と良い試合をしている。まずはきっちり勝利して自信に繋げて欲しい。