「セレッソの組織力はゼロに近かったけど、もともとマイナスだからね」J1第2節 浦和レッズ-セレッソ大阪

昨日のNHKで放送されていたこのカード。それだけ、ユン・ジョンファン監督へと交代し、この試合は怪我で欠場だったがセビージャから清武を獲得したセレッソに大きな注目が集まっていたのだろうが、結果的には浦和が3-1で余裕の勝利。チームの完成度の違いをまざまざと見せつける試合になってしまった。

ユン・ジョンファン監督が鳥栖時代に作っていたサッカーは、激しくプレスをかけてボールを奪うとすぐさま豊田に放り込む、ゴリゴリの体育会系ゾーン・ディフェンス。セレッソでも当然4-4-2でFWに長身の杉本健勇を起用して来た事を見ても、同じ路線は明らかだった。

が、守備も攻撃も組織の構築度合いは全然サッパリで、4-4-2の3ラインでゾーンは組むものの、どこでボールを奪うかという設定が共有されておらず、2トップは浦和のDFはおろかボランチにもプレスをかけに行かないし、そうなると当然後ろもラインを上げられず、ただボールが自陣に入って来るのを待ち構えるだけ。

前半22分の先制点は、遠藤が緩い寄せをあっさり交わして武藤に縦パスを出され、武藤のクサビに対するマークも遅くて簡単に前を向かれてしまうという、ボールの出し手にも受け手にも甘い守備を突かれてしまったし、2点目も直接の原因は丸橋がボールを奪われた事だが、その後を見ると守備陣が人に寄り過ぎてPA内がスッカスカ。

攻撃でも極めて縦パスのミスが多かったが、もともとゾーン・ディフェンスは約束事でボールを動かすオートマティズムが主軸なので、ボールを奪ったら前線にすぐ縦パスという選手の選択は間違っていない。ただボールの受け手であるFWやSHのポジショニングが悪く、縦にボールが入ってもその後のフォロー、トライアングルを作る連動が出来ていないだけの話だ。

ただ、後半になるとハーフタイムでの修正が効いたのかセレッソの内容が若干改善された。前半はボーッと突っ立っている事が多かった2トップがSBまでプレスをかけに行くようになったし、浦和のペースが落ちた事もあるが、クサビもサイドに流れて受けるなど工夫が見られ、ようやくボールを落ち着かせられるようになった。

特に山村がトップ下の位置に入ってからは、前半には無かったタイミング良く中盤に顔を出してボールを受けたり、もともとボランチだけあってボールを追いかけてプレスをかけるポジショニングが上手く、杉本よりもよほどゾーン・ディフェンスのFWのとしてふさわしい働きをしていたのには苦笑するしか無い。J2のぬるいディフェンスに慣れきった攻撃陣の意識改革をしない限りは、清武が入ってもセレッソの上位進出は難しそうである。

浦和は、今期のテーマである前から嵌めるゲーゲンプレッシング的守備が、セレッソのようなチーム相手には非常に良く効いた。連戦の疲れが見える中、前半のうちに試合を決められた事が大きかった。ラファエル・シルバの獲得は当たりだし、ACLもある中でこれからどれだけ層の厚みを増していけるかがポイントだろう。