「”レスターらしさ”の中心には、常に岡崎慎司が存在している」イングランド・プレミアリーグ第26節 レスター・シティ-リバプール

間違いなく世界のサッカーの歴史を飾る快挙を成し遂げた功労者でありながら、あまりにもあっさりと首を切られてしまったラニエリ監督。

現地マスコミによれば、「ティンカーマン」ラニエリの度重なる戦術変更に対して、選手らが反旗を翻したのが理由ではないかと書かれており、岡崎らははっきりとそれは否定していたものの、この3-1で快勝したリバプール戦を見ると、結果と内容はもちろん、データ的にも以前の試合よりも1割以上も走行距離が増えており、そういう記事を書かれてしまうのも仕方ないかなと思わざるを得ない。

さて試合の方だが、暫定監督になったシェイクスピアが取った方針は、まさに「原点回帰」。チェルシーに移籍したカンテの代わりにエンディディが入った以外は、昨シーズンのベストメンバーと同じメンバーとフォーメーション。もちろん岡崎は4-4-1-1のトップ下で先発出場。

今期のレスターであれば、守備陣と攻撃陣の間が広く空いて、岡崎はカンテの穴を埋めるべく中盤に吸収されてヴァーディが孤立していたのが仕様だったのだが、この試合は見違えるようにレスターの出足が早く、絶え間ないプレッシングでボールを奪うと素早く前線へ送る攻撃が徹底されており、前半20分までにレスターは岡崎が頭でコースを変えた惜しい場面を含む4本のシュートを打ったのに対し、リバプールがゼロと圧倒する。

普通であれば、こういうホームで勢いのある下位チームを強豪が相手にする場合、序盤の勢いを受け流して相手のペースが落ち着き始めた頃から、ボールを回してポゼッションを高め、相手を疲れさせてズドン、という形に持ち込むのが常套手段なのだが、この試合のレスターは全くリバプールにそういう息をつく時間を与えなかった。

リバプールがマイボールにしても、すぐさま岡崎とヴァーディがプレスをかけて来るので満足にビルドアップが出来ず、中盤はさすがにカンテが抜けてボールを刈り取る能力は落ちてはいるが、エンディディのリーチと岡崎のプレスバックである程度カバーし、苦し紛れのロングボールはモーガンとフートが跳ね返す。マフレズも相変わらず好調時の出来とは遠いものの、高い位置でボールに絡めている。

それにクロップ監督の選手起用も裏目に出た。怪我のロヴレンに代えて本来はボランチのルーカスをCBに置いたのだが、高さはあってもアジリティに欠けるマティプとのコンビはスピードに対して全くの無力で、前半28分にドリンクウォーターからのスルーパスでヴァーディがあっさり抜け出し、GKとの1対1から冷静に流し込まれてしまう。そして39分にはフクスのロングスローからミルナーがクリアしたボールをドリンクウォーターがゴラッソなボレーで叩き込み2点目をゲット。

後半も両チームの勢いは変わらず、15分にはレスターが左サイドでショートパスを回し、フクスがあっさりフェイントでマークを置き去りにして中央で待っていたヴァーディがヘディングでゴール。どちらがビッグクラブか分からないぐらい、リバプールの淡白な守備が目につく3点目だった。その後はリバプールもコウチーニョのゴールで1点を返すも、岡崎に代えてアマーティを入れ、4-5-1で守備を固めたレスターが逃げ切り3-1で試合終了。

岡崎はシュートこそ前半のヘディング1本だったが、前線での基点役として愚直にボールを受け続け、倒されてもすぐに起き上がってファーストプレスに行く動きを絶え間なく続けるなど、まさに本来の”レスターらしさ”を体現する働きだったと言える。3/14にはチャンピオンズリーグのセビージャ戦も控えているが、レスターというチームに必要不可欠な存在として改めて証明出来たのではないだろうか。