「この守備で7年連続ベスト16というのは、アーセナルは別の意味で驚異的」UEFAチャンピオンズリーグ ベスト16第1レグ バイエルン-アーセナル

今週行われたチャンピオンズリーグベスト16のもう1つのビッグマッチ、バイエルン対アーセナルの試合は、ご存知のようにバイエルンが5-1で圧勝し、7期連続でベスト16で敗退という不名誉な記録を更新しそうなアーセナルのベンゲル監督には解任論が出る事態になっているわけだが、まるでコピーのような昨年の記事を見つけてしまって苦笑せざるを得ない(笑)。

それにしても、アーセナルの試合を見ていていつも思うのは、「ベンゲル監督には守備組織を作るという概念が存在しないな」という事である。フォーメーション的には攻撃時が4-2-3-1、守備時には4-4-2の形になるオーソドックスなスタイルなのだが、4バックは一応ラインは形成しているものの中盤が全くのバラバラで、見るからに約束事じゃなくて個人の判断だけで、前に出て潰すのか引いて付いていくのか、それともステイするのかなどの対応が行われているのがミエミエなのだ。

バイエルンは、シャビ・アロンソが的確にサイドチェンジを繰り出して相手のゾーンを右往左往させ、シャビ・アロンソがマークされたと思ったら今度はフンメルスが前に出て来てフリーで楽々と縦パスを通すなど、アーセナルの適当守備をやすやすと掻い潜って思うがままにビルドアップを繰り出していた。

前半の11分に、ロッベンが得意の右45度からのシュートを決めた場面でも、コクランが不用意にサイドに寄って中のスペースを空けてしまい、ロッベンのカットインについて行けずに後追いになって、まんまとそのスペースからシュートを撃たれてしまった。それを見ても、アーセナルにはゾーン・ディフェンスの基礎すら出来ていないのが良く分かる。

しかし、そんな守備組織が存在しないチームであっても、アーセナルがプレミアリーグではダントツとなるチャンピオンズリーグに19期連続で出場という結果を残し続けているのは何故なのか。ボロボロの状態になりながらもその後は猛攻を耐え忍び、前半の30分にラッキーな判定でレヴァンドフスキがPKを取られてアーセナルが同点に追いついてからは、ほんの少しだけその理由を示し始める。

ボールを奪ってから各選手が素早く動き出し、高速パスを繋いでコレクティブカウンターを仕掛けるアンリ時代を思い出す攻撃で、前半の39分にはジャカが完全にフリーで正面からシュートを打ち、45分にはエジルがライン裏へ抜け出しGKノイアーと1対1になる決定機を作る。が、アーセナルが逆転の気配を感じさせたのはこの数分間だけだった。

後半8分に、バイエルンはエジルのミスからカウンターを仕掛け、ロッベン、ラームと繋いで最後はレヴァンドフスキがクロスをきっちりヘディングで決めると、3分後にはチアゴ・アルカンタラの飛び出しにアーセナルは誰もマークに行かず、レヴァンドフスキが後ろへ通したボールをフリーで流し込んで3点目。これでアーセナルは完全に気持ちが切れてしまい、その後は4バックすらまともにラインを作れなくなり、あとはバイエルンのやりたい放題。で、終わってみれば5-1の大差。

まだアウェイの第1レグなんだから、3-1の時点で踏みとどまっていればまだ可能性はあったんだけど、そこであっさり気持ちが切れて為す術もなく2点を追加されてしまうところがアーセナルらしいと言うか・・・(苦笑) バルサの場合と違って、バイエルンにはノイアーもいるしほぼこれでベスト16突破は絶望的になってしまった。さて毎度のベンゲル解任騒ぎは今年こそ本当に実現してしまうのだろうか?