「原口は、決して得点だけでチームに貢献しているわけではない」ドイツ・ブンデスリーガ第19節 ヘルタ・ベルリン-インゴルシュタット

最近5試合で4敗、リーグの順位も3位から6位まで下落してしまったヘルタ・ベルリン。チームの調子とともにコンディションを崩していた原口もここ3試合はベンチスタートだったが、今節のインゴルシュタット戦では右SHとして先発復帰した。

そしていきなり、ここまで無得点2アシストだった原口が結果を出す。試合開始わずか1分に、相手のクリアミスを拾ったカルーが左サイドをドリブル、折り返したボールが右に居た原口にまで届き、インサイドで丁寧にコースを狙ったシュートが決まってヘルタが先制点をゲットする。

しかしヘルタはこの得点で攻撃のペースを緩めてしまって、その後はあまり丁寧なビルドアップをせずに早めに前線へとボールを放り込むリスクオフな攻撃に終始、原口とカルーもポジションを中に絞ってロングボールの跳ね返りを拾うスタンスでいたが、12月から得点がないイビシェヴィッチのプレイが精彩を欠いて基点になれず、前半はシュートがヘルタ3本、インゴルシュタット4本というしょっぱい内容のまま折り返す。

後半になってもヘルタのペースは一向に上がらず、20分までにシュートを1本も打てない展開。インゴルシュタットはサイドの押し上げが活発化し、ヘルタのDFラインはズルズルと下がってしまう。原口も攻撃に出たと思っていたらボールを取り返すために自陣の深い位置まで戻る上下運動を余儀なくされる。そしてPA内でマティプやレスカノに決定的なシュートを打たれるが、GKヤーステインがしっかりセーブして何とかピンチを凌ぐ。

インゴルシュタットは、後半21分にキッテルを投入してそれまでの5-2-3のフォーメーションから4-4-2へと4バックに変更する。が、これがインゴルシュタットにとっては裏目に出る。それまで5バックのDFが前に出てカバーしていたバイタルエリアにスペースが出来るようになり、原口とエスヴァインが後半35分からともに2本ずつシュートを放ったが追加点は決まらず、試合はそのままヘルタが1-0で辛勝した。

原口は前半の1分に決勝点という結果は出したが、残りの89分はひたすら「水を運ぶ人」だった。対面の選手がボールを持つとひたすら追いかけてタックルを仕掛け、ボールを持てばパスコースが無くても強引なドリブルで時間と陣地を地道に稼ぐ。終盤には疲れでシュートがヘロヘロになったのは苦笑いだったが、疲れていてもチャンスにはゴール前まで走って絡む姿勢は、やはり原口ならではと言えるだろう。

ここ最近は先発から外れていたが、この試合の原口を見ていれば得点だけで価値を測ってはいけない選手だというのは誰の目にも見て分かったのではないだろうか。