気がつけば、ブックメーカーマネーの波に飲まれつつあるJリーグ

昨日は夜に飲み会があり、特別見ないといけない試合も無かったので、今回は最近注目したニュースをピックアップしてみます。

Jリーグ放映権を“黒船”に奪われた「スカパー!」の悲劇 ダ・ゾーンが超強気な理由 (現代ビジネス) – Yahoo!ニュース

どうも一般的に、週刊現代系のメディアは信頼性に欠ける場合が多いのですが、この記事はなかなか良い視点だと思いましたね。

今日のニュースでも、Jリーグ放映からの撤退でスカパーの契約者が大幅減という記事がありましたが、どちらかと言えば海外組の試合がメインな私にとっても、ブンデスリーガの枠は減るしイタリア組は軒並みサブだしで、もはやチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグの試合ぐらいしか見るものが無くなりつつあります。これでプレミアがDAZNに行ったら、いよいよスカパーの解約も考えないといけないかもしれません。

さて今までは、DAZNのオンデマンドビジネスについての視点で語られる事が多かったパフォームグループ。それも確かに1つの収益源としてある程度独立はしているのでしょうが、パフォームグループはもっと大きく包括的にサッカービジネスを展開しているコングロマリット企業でもあります。

パフォームグループの公式サイトを見ると、サッカーファンには言わずと知れたGOAL.comやデータサービスのOPTA、アメリカのプロバスケリーグNBAの日本語公式サイト、同じくアメリカのプロゴルフツアーPGAの日本語公式サイトと並んで、「RunningBall」という名前のブックメーカー向けデータサービスが運営されているのが分かります。そしてブックメーカーのサイトでは、サービスの一環として試合の無料視聴が提供されている場合が多いです。そう考えると、何故パフォームグループがJリーグの放映権を獲得したのか理由は明白ですよね。

おそらく、パフォームグループがJリーグの放映権を獲得する裏の狙いは、映像とデータをワンパッケージにして、海外のブックメーカーに新たなコンテンツとして提供する事。既にブックメーカーのサイトでJリーグは賭けの対象になってますが、そこに無料視聴の映像が加わるとさらにブッキングマネーが集まりやすくなるのは間違いありません。

特にJリーグの場合は、ヨーロッパのオフシーズンにも試合をやってますし、公式でtotoも運営しているので試合の透明性が高く、他のアジアやラテンのリーグに比べて八百長が入り込む余地が少ないです。そういうところも、ブックメーカーにとっては魅力の1つなはずです。一時期、声高に言われていたJリーグの秋春制についての議論がトーンダウンしているのも、実はパフォームグループの意向があるのではないかと邪推しています(笑)。

実際に、パフォームグループによる巨額の契約で、2ステージ制&チャンピオンシップを開かないといけないほど収入的にジリ貧状態だったJリーグが息を吹き返し、セレッソは清武を買い戻せるほどの予算を組めるようになったわけです。賭けが主たる目的ではあってもJリーグを見る人が世界中で増える事は確実で、コンテンツを世界に売るというJリーグの目的にとって1つの大きな力にもなります。

もちろん、日本では公式にはブックメーカーの存在は認められていませんし、日本からの利用は出来ますが法的にはグレーゾーンの解釈です。しかし否が応でも、日本のサッカーが世界のブックメーカーマネーに飲み込まれて行くのは、もはや避けられない流れであると言えます。これからは、どうやってそれをWin-Winの関係として作り上げていくのか、そういう姿勢、取り組みが問われるのではないでしょうか。