「アトレティコ・マドリードだけじゃなく、味方とも戦ってしまっていた乾」コパ・デル・レイ 準々決勝第1レグ アトレティコ・マドリー-エイバル

1/8に行われた同じカードのリーグ戦では、対面した右SBのヴルサリコをドリブルでチンチンにしてアトレティコを苦しめた乾だったが、アトレティコのホーム、ビセンテ・カルデロンで行われたコパ・デル・レイの準々決勝第1レグでは、出場した65分間でボールタッチはわずか19回と、アトレティコにほとんど仕事をさせてもらなかった。

乾はいつもの左SHではなくて右SHで出場し、左にはベベが入った。その狙いはいまいち不明だが、もしかすると乾を前回の試合とは逆に置いて相手の裏をかいた狙いもあったのかもしれない。が、この試合についてははっきり逆効果だったように思う。

カウンター狙いのチームであるエイバルにとっては、ポゼッションをして来るチームは得意とするのだが、アトレティコのような同じ4-4-2でハイプレスを仕掛ける相手には非常に相性が悪い。実際、エイバルはボールを奪ってもボランチや守備陣にすぐさまプレスをかけられてしまうので、それを逃れるのが精一杯で適当なロングボールを蹴り出すことしか出来ず、全くビルドアップをする余裕が無かった。それならハイプレスで対抗するかというと、エイバルはアウェイという事もあってか自陣にベタ引きしたまま。

乾はSHだったが攻撃時にはFWに近い位置まで上がり、味方にももっと高い位置からプレスをかけようと指示をしていたようなのだが、それ以外のメンバーが自陣の低い位置で留まっているため、せっかく高い位置でフリーな状態になっていてもそこまでボールが飛んで来る事はなく、たまにパスが通ったと思ったらフェリペ・ルイスやサヴィッチがあっという間に寄せて前を向かせず、ファールも辞さない厳しい当たりを仕掛けて来るので孤立するばかり。

それでもエイバルは何とか耐え忍んでいたのだが、28分にGKジョエルの飛び出しミスから最後はグリーズマンに押し込まれて先制点を許してしまう。しかしエイバルはその後もほとんど前に出る姿勢を見せようとせず、点を取りたい乾の意思とチームのプレイは離れて行くばかり。そして後半15分にDFラインギリギリで抜け出したカラスコがシュート、そのこぼれ球をコレアが押し込みアトレティコが2点目。その5分後に乾はルーナと交代。

試合はエイバルがさらにセットプレイから3点目を奪われ、もはやチームに追撃する反発力は残されておらず、試合はそのままアトレティコが試合をコントロールしたまま3-0で試合終了。まだエイバルホームでの第2レグは残っているが、事実上の敗退決定と言える結果になってしまった。

チームに沿った考えであれば、乾はもっとSBの位置まで下がって6バック気味でスペースを埋め、攻撃時にはサイドの高い位置に張るのではなくて、インサイドハーフとして組み立てながら上がって行くべきだったのだろうが、じゃあそれで勝てるかというとそれは全くの別問題である。

乾にしてみたらアトレティコは単にドン引きして勝てる相手ではないし、コパ・デル・レイは失うものなんか無いんだから、何でもっと果敢に攻めないのかと思ったことだろう。そりゃ私でさえそう思うぐらいだが、やっぱりヨーロッパの選手にとってアウェイってのはそこまで萎縮してしまう根深い感情があるんだろうなあ・・・。